対テロ部隊 (リベリア)

対テロ部隊（ATU）

対テロ部隊（Anti-Terrorist Unit, ATU）は、リベリアの国民愛国党（NPP）政権下で運用されていた準軍事組織です。表向きは政府施設、高級住宅、国際空港、在外公館などの警護を任務としていましたが、その実態は、チャールズ・テーラー大統領の私兵部隊としての側面が強く、国防省の統制を受けない独立した組織でした。

組織の背景と構造

ATUの設立には明確な法的根拠がなく、その指揮系統も異例でした。チャールズ・テーラー大統領の息子であるチャールズ・マッカーサー・エマニュエルや、政権の軍事顧問を務めていたベンヤミン・ヤーテン、更には、テーラー政権と協力関係にあったシエラレオネの反政府組織、革命統一戦線（RUF）の幹部であるサム・ボッカリィなどが指揮官として名を連ねていました。これらの人物がATUの運営に深く関与していたことは、この部隊が単なる警護組織ではなく、政権の権力維持のための道具として機能していたことを示唆しています。

ATUの規模は1200人以上とされ、その構成員の多くはブルキナファソ、ガンビア、シエラレオネといった近隣諸国からの外国人戦闘員で占められていました。特に、RUFのメンバーが多数参加していたことは、ATUが地域紛争の温床となっていた背景を物語っています。兵員らは1998年から2000年の間、南アフリカ防衛軍の元士官であるフレッド・リンデルから訓練を受けていましたが、リンデルはメディアからの批判を受け、教官を辞任しています。

第二次リベリア内戦における活動

ATUは、第二次リベリア内戦において、多数の略奪や殺人などの残虐行為に関与したことで知られています。2002年6月には、モンロビアにおいてATUの隊員および大統領警護隊がタクシーを銃撃し、6歳の子供を殺害、母親と運転手に重傷を負わせるという事件が発生しました。また、労働副大臣のBedell Fahnが4人の隊員と共に2人のナイジェリア人を拘束し、拷問の末に殺害するという事件も発生しています。これらの事件は、ATUが法と秩序を無視し、市民に対する暴力を日常的に行っていたことを示しています。

解散

リベリア内戦の終結後、テーラー政権が崩壊し、後ろ盾を失ったATUは解散されることとなりました。しかし、ATUの解散は、リベリアにおける紛争の終焉を意味するものではありませんでした。ATUの元隊員たちは、その後も様々な形で地域紛争に関与し、リベリアの平和構築を阻害する要因となりました。

関連項目

武装親衛隊
共和国防衛隊
* シークレットサービス

脚注

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