対外有償軍事援助

対外有償軍事援助（FMS）について

対外有償軍事援助（たいがいゆうしょうぐんじえんじょ、英: Foreign Military Sales、FMS）は、アメリカ合衆国の国防総省が提供する軍事支援プログラムです。このプログラムは、海外の国々に対してアメリカ製の兵器を有償で供与し、その取得や関連する教育訓練を行うことを目的としています。

FMSの特徴として、アメリカの武器輸出管理法に基づいて、アメリカ政府が輸出の窓口となる点が挙げられます。一般的には兵器製造メーカーからの直接購入ではなく、合衆国政府を介しての取引となります。この仕組みによって、取引先の国々は高品質で最新の装備品を獲得できると同時に、アメリカからの専門的な訓練も受けることが可能です。

FMSの利点

FMSプログラムにはいくつかの利点があります。まず、大口取引が実現するため、価格が割安になる可能性があります。また、合衆国政府が仲介者となることで、軍事面での信頼関係が構築されやすく、必要な訓練や技術支援も受けやすいといえます。これにより、受援国は高度な技術を持つ装備品を導入できることが、その国の防衛能力を強化することにつながります。

課題と注意点

しかし、FMSにはいくつかの課題も存在します。まず、全ての取引は前払い制であり、この点が負担となることがあります。さらに納期が年単位で遅れる場合もあり、その間に状況が変化することや、緊急の必要に応じた対応が難しくなる可能性もあります。加えて、最初の見積もりに対する価格の変動があるため、最終的な支払額が当初の想定を上回ることも少なくありません。このように、FMSの利用にはアメリカ側の意向に従う必要があるという制約があります。

日本におけるFMS

日本においては、FMSは「有償援助」として知られています。防衛省や自衛隊では、特に防衛装備庁調達事業部がこの有償援助プログラムの調達を担っています。これにより、日本の防衛力強化を目的とした兵器の導入が行われています。

他の関連プログラム

FMSに関連するプログラムの一つに、直接商業売却（Direct Commercial Sales：DCS）があります。DCSは、相手国が米政府を介さずにアメリカの企業から直接兵器の購入を行う形態です。ただし、この取引もアメリカ政府の輸出許可が必要となります。両プログラムは、相手国に対する軍事支援の手段として重要な役割を果たしています。

対外有償軍事援助は、アメリカとその同盟国との関係を深め、防衛協力を促進するための重要な枠組みであり、国際安全保障の観点でも大きな意味を持つものです。

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