寿々木米若

寿々木 米若（すずき よねわか）

寿々木米若は、1899年4月5日に新潟県中蒲原郡曽野木村大字曽川（現在の新潟市江南区）で生まれました。本名は野上松平で、昭和時代に活動した浪曲師として広く知られています。彼の芸歴は、叔父である初代寿々木亭米造からの影響を受けており、農家の家庭環境で育った彼は、幼少期から浪曲の魅力に触れていました。

芸能人生のスタート

彼は1920年に上京し、父を通じて2代目寿々木亭米造に入門しました。初めは前座ではなく、二つ目からのスタートを切ります。1930年には真打に昇進し、一門を離れて独立することとなりました。旅の中で彼は新たな浪曲を模索し、1928年にはアメリカにも巡業の足を延ばします。これにより、彼はさまざまな文化に触れ合い、その表現力に磨きをかけていきました。

代表作とその影響

彼の代表作、「佐渡情話」は特に有名です。この作品は、自身が作成し口演したSPレコードとしてリリースされ、約75万枚を売り上げる大ヒットとなりました。その哀調を帯びたメロディーと、情感豊かな語りが多くの人々の心を掴みました。彼が創作した演目は、広く知られるようになり、後に関西の浪曲におけるスタイルとして根付いていくこととなります。

代表作品は他にも、「八百屋お七」、「吉田御殿」、「唐人お吉」などがあり、これらによって彼の名前は日本の伝統芸能において永続的なものとなりました。特に「佐渡情話」は、彼の特長でもある哀切な語りが際立つ一曲で、昭和の浪曲師の中でも特に評価が高い作品と言えます。

文化活動と受賞歴

米若はまた、俳句にも精を出し、高浜虚子に師事して多くの作品を残しました。日本浪曲協会の長年にわたり会長を務め、浪曲の普及にも寄与しました。彼の影響は後輩の浪曲師たちにも及び、米若のスタイルは後の浪曲にも多くの影響を与えています。

受賞歴としては、1964年に紫綬褒章、1969年には勲四等瑞宝章を受けており、彼の芸術的な業績が評価されていることを示しています。

晩年

晩年には熱海に「よねわか荘」という旅館を建てるなど、プライベートな時間を大切にしつつも、巡業の忙しさからなかなか帰れない日々を過ごしていました。1979年12月29日に亡くなるまで、寿々木米若は日本の浪曲界における重要な存在として、数十年にわたってその名を刻み続けました。

彼の独自の語りと深みのある声は、浪曲愛好者のみならず多くの人々の心に響き、今なお語り継がれています。

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