射場

射場について

射場（しゃじょう、英：launch site）とは、ロケットを打ち上げるために整備された施設を指し、発射場とも呼ばれます。通常、NASAなどの宇宙機関がこれらの施設を管理しており、軍事用の空軍基地と共用されることもあります。最近では、民間の宇宙飛行の進展に伴い、宇宙港（Spaceport）とも呼ばれる新しい形式の射場が登場しました。

射場の選定基準

射場の設置には、火薬や危険物を扱う際の安全性、発射の信頼性、効率性などが強く影響します。以下に、射場が選ばれる際の主な条件を説明します。

1. 緯度

射場は低緯度、特に赤道近くに位置することが理想とされています。赤道直下から真東にロケットを打ち上げると、地球の自転による遠心力を最大限に利用でき、燃料効率が向上します。具体的には、第一宇宙速度の7.9km/sに対し、地球の自転によって約0.46km/sの燃料削減が可能です。例えば、日本の種子島宇宙センターは約30度の緯度に位置し、約0.4km/sを利用することができます。

2. 安全確保

射場周辺では、大量の火薬や危険物を扱うため、広大な面積が必要です。発射後のロケットが落下する地点や、もし故障した場合の飛翔コースを考慮し、人や物に被害が及ばないように配置や発射方向が決められます。そのため、多くの場合、海岸近くに射場が設置され、発射は海に向かって行われます。陸地や島が近くにある場合、発射方位や発射可能な時期が制限されることもあります。

3. 天候条件

発射のために良好な天候が求められます。晴れの日が多く、ロケットの発射姿勢に影響を与える強風が少ない地域が好まれます。これにより、射場の年間利用率が向上し、効率的な打ち上げが可能になります。

4. 地上設備

射場には、ロケットを組み立てる施設や、発射の際にロケットを固定するための設備が不可欠です。液体燃料ロケットの場合、燃料の保管や注入を行うための施設も必要です。また、人工衛星を打ち上げる際には、宇宙空間までの管制を行うための施設も求められます。有人宇宙飛行が行われる場合、宇宙飛行士のための宿泊施設も必要です。

その他の例

2019年には、中国が長征11号を海上から打ち上げることに成功しました。これは、民間の船舶を射場として利用した例です。このように、科技が進む中で、従来の概念にとらわれない柔軟な射場の利用も進んでいます。

射場はロケット発射を支える重要な要素として、今後も様々な条件が考慮され、技術とともに進化し続けるでしょう。

もう一度検索