将棋倒し

将棋倒しとは

将棋倒し（しょうぎだおし）は、将棋の駒を使用した遊び、及びその遊びから派生した比喩的表現としての事故のことを指します。この言葉は、遊びと実際の事故という二つの側面から語られることが多いです。以下にそれぞれの側面について詳しく説明します。

遊びとしての将棋倒し

将棋倒しは、将棋の駒を積み重ねて並べ、一枚の駒を倒すことで連鎖的に他の駒を倒していく遊びです。この遊びは、ドミノ倒しと比類される部分があり、子供から大人まで楽しむことができます。遊びの過程で、駒が倒れる様子が美しく見え、またその連鎖的な動きが視覚的にも楽しませてくれます。

この遊びにおいては、並べた駒がどのように倒れていくか、いかに長く連鎖を続けられるかに工夫が凝らされます。友人や家族と集まり、競い合ったり協力し合ったりしながら楽しむことができ、多くの人に親しまれている遊びの一つです。

事故としての将棋倒し

一方で、将棋倒しという言葉は、雑踏の中で人々が連鎖的に倒れる事故を指すこともあります。この場合、誰かがつまずいたり転倒したことがきっかけとなり、その周囲の人々が次々に倒れていく様子が、遊びの「将棋倒し」に似ていることからこの名前が付けられました。

こうした事故は、多くの人が密集する場面で発生しやすい傾向があります。特に、段差のある場所や混雑した交通機関などで起こりやすく、場合によっては大きな怪我や犠牲者を出す事態に至ることもあります。事故の影響力は周囲の人々に波及し、重大な結果をもたらすことがあるため、注意が必要です。

将棋倒しの歴史

「将棋倒し」という言葉が文献に登場するのは、14世紀の『太平記』においてであり、物語の中で楠木正成が敵軍に対抗するために木を倒したことが、将棋の駒が倒れる様に喩えられています。また、『平家公達草紙』でも権力者が次々と失脚する様子が「将棋倒し」と表現されています。これらの記録から、将棋倒しは歴史的にもさまざまな形で用いられてきたことがわかります。

事故の危険性と対応策

将棋倒しは、特に階段のような段差がある場所で発生する際に、非常に危険です。転倒の衝撃が大きくなるため、下にいる人は上からの転落者の体重を受けてしまう可能性があり、さらに、段差の角に体をぶつけるといった事故も考えられます。

事故の際には、無理な姿勢で転倒することが多く、受け身を取ることも困難です。これにより、怪我の程度が深刻になることも少なくありません。また、救助活動がスムーズに行えないことから、危険度がさらに増すことがあるため、注意が必要です。

日本将棋連盟の抗議

2001年に発生した明石花火大会の事故では、「将棋倒し」という表現が報道されたことに対して、日本将棋連盟が抗議を行いました。この事故では多くの人々が命を落とし、怪我を負いました。連盟は、報道機関に対してこの表現の使用を控えるよう求めました。

新聞各社はその後、この呼称を使わない傾向を示し、この事故の影響力を考えた結果とも言われています。

まとめ

将棋倒しという言葉は、その遊びとしての楽しさと、事故としての悲劇的な社会的現象という二面性を持っています。遊びとしての魅力を守りつつ、事故防止への認識と対策が求められます。

もう一度検索