小串鉱山

小串鉱山とは

小串鉱山は、かつて群馬県吾妻郡嬬恋村干俣に存在した硫黄鉱山です。群馬県と長野県の県境にある毛無峠の南東斜面に位置し、標高約1600mの場所にありました。万座川の支流である不動川の源流付近に位置する、自然豊かな場所でした。

この鉱山は、日本で2番目に大きな硫黄鉱山として知られていました。1929年に北海道硫黄株式会社（三井財閥）によって硫黄の採掘が開始され、多くの人々がこの地で生活を営んでいました。しかし、1937年には大規模な山津波が発生し、多くの犠牲者を出すこととなりました。その後も操業は続けられましたが、1971年に閉山しました。

最盛期には、2,000人を超える人々がこの地域で暮らしており、鉱山を中心に活気がありました。しかし、山津波の災害により、その賑わいは過去のものとなりました。

大規模斜面崩壊（山津波）

発生

1937年11月11日15時30分頃、小串鉱山の背後斜面で大規模な斜面崩壊が発生しました。この災害は「山津波」とも呼ばれています。

当時、約200人の作業員が鉱山に入坑していましたが、幸いにも全員無事でした。しかし、鉱山事務所、精錬所、配給所、荷造場、小学校、そして100棟以上の鉱山住宅が土砂に飲み込まれ、多くの作業員の家族が犠牲となりました。

また、この災害発生時、東京鉱山監督局の職員が現地に来ており、幹部が対応していましたが、彼らも殉職するという悲劇に見舞われました。

さらに、精錬所の火が火薬庫に引火し、大爆発を引き起こしました。この爆発により、倒壊を免れた会社建物、病院、住宅、巡査駐在所までもが延焼し、被害はさらに拡大しました。

被害状況

この土砂災害による死者は245人にのぼり、そのうち18歳未満の犠牲者が3分の1以上を占めました。特に、嬬恋小学校小串分教場では、放課後に校庭で遊んでいた約50人の児童が犠牲になりました。

土砂崩壊の原因は、11月上旬から降り続いていた雨などが考えられています。この災害により小串鉱山は一時操業を停止しましたが、1938年3月には操業を再開し、1971年の閉山まで硫黄の採掘と精錬を続けました。

被害詳細

死者: 245人
負傷者: 32人
倒壊埋没家屋: 62戸
焼失家屋: 38戸
土砂埋没家屋: 350戸（社宅70棟）


小串鉱山は、その歴史の中で、鉱山災害という大きな悲劇を経験しました。この災害は、自然の脅威と鉱山開発の難しさを物語るものとして、今もなお語り継がれています。

参考文献

群馬県万座川流域の旧小串鉱山を襲った大規模崩壊と災害 - 山地防災研究所 櫻井正明

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