小作料統制令

小作料統制令についての詳細

小作料統制令は、昭和14年の12月6日に制定された勅令（勅令第823号）であり、第二次世界大戦が勃発した直後の1939年に施行されました。この法令は国家総動員法第19条に基づいて発行され、小作料に関する統制を目的としていました。

背景

1939年9月18日、政府は「九・一八停止令」と呼ばれる一連の令を発表しました。これにより、賃金や価格の統制が行われましたが、これを小作料にも適応する形で策定されたのが小作料統制令です。この令の施行により、小作料の額や種類は1939年9月18日現在のものに固定され、変更には地方長官（知事）の許可が必要となりました。

制定内容

小作料統制令の内容は、農地委員会が地主と小作人の双方の合意を得て適正な小作条件を設定し、地方長官には不適正な小作条件の是正を命じる権限が与えられるというものでした。しかし、実際には不適正な小作条件の具体的な水準が定められておらず、物納と金納の間の換算に関する規制も不足していました。また、是正の発動が例外的であったため、ほとんどの場合、小作料の現状維持が許可される結果となりました。

実質的影響

このような状況の下、小作料統制令は実質的にはほとんど影響を持たないものでしたが、明治以降ほとんど規制がなかった小作制度に対して初めての規制がかけられた例とも言えます。これにより、戦時経済を背景に翌年に施行される米穀管理規則など、地主に対する国家の統制が進む足がかりとなったと評価されています。

廃止

小作料統制令は1945年12月29日に廃止されました。この廃止は、農地改革を進めるための農地調整法の改正に伴うもので、農業政策の転換点を示しています。

参考文献

• - 西田美昭「小作料統制令」（『国史大辞典 5』（吉川弘文館、1985年）ISBN 978-4-642-00505-0）
• - 山岡亮一「小作料統制令」（『日本近現代史事典』（東洋経済新報社、1979年）ISBN 978-4-492-01008-2）

この法令は、戦時中における日本の農業経済に対する国家の介入の初期段階を示し、以降の農地改革等における重要な基盤を形成しました。

もう一度検索