小倉玉屋

小倉玉屋の歴史と経緯

小倉玉屋（こくらたまや）は、かつて福岡県北九州市小倉北区で営業していた日本の百貨店です。玉屋は小倉市において商業活動を支えてきましたが、その誕生には数々の紆余曲折がありました。

開業への道のり

1935年に小倉市が百貨店用地を売却する決定を下したことが、玉屋開業の始まりとなりました。当初は松屋百貨店に売却する意向でしたが、最終的に白崎忠男による玉屋へと決定されました。その際、小倉市にはすでにかねやす百貨店が存在し、井筒屋の建設も進んでいたことから、商業界には反対の声が多く上がっていました。

地元の商人たちは「小倉小売商店連盟」を結成して百貨店誘致に反対し、さらには八坂神社の宮司らも移転の影響を受けるとして計画に反対しました。一方で、玉屋の誘致を望む地域住民もおり、地元団体は誘致活動を行いました。これらの対立は市会での政党の駆け引きも絡み、長期的な混乱を生じましたが、最終的には同年に仲裁が行われ、百貨店建設が認められることになります。

開業と戦後の影響

1938年に小倉市にて百貨店が開業しました。初期には「菊屋」という名称で開店し、男女あわせて800名の従業員が働いていました。しかし、第二次世界大戦の影響で1945年には接収され、一部のみの営業が許可されました。接収期間中、百貨店は宿舎に転用され、その後は米軍の売店やバー的な施設として利用されることになりました。

接収解除後、1952年に正式に「玉屋」の商号を再利用し、再開店を果たしました。これ以降、地元に根付いた百貨店としての道を歩むことになります。

経営危機と再開発

1990年代に入ると、周辺の競争が激化し、小倉駅前に新たな小倉そごうが開店したことにより、玉屋の売り上げは大幅に減少しました。玉屋は独自性を追求し、改装を行ったものの、経営は順調とは言えませんでした。1994年に始まった再開発事業には参加を検討しましたが、経済的な困難から入居を断念しました。

小倉そごうの閉店後には、そのテナントとして玉屋を移転させる動きがありましたが、玉屋の売上は回復せず、2002年に百貨店としての営業を終了しました。

その後の展開

百貨店の廃業後、玉屋は社名を「KTサービス」に変更してビルメンテナンスなどの業務を開始しました。また、友の会の廃業が発表され、玉屋の名称を残している店舗は少なくなりました。さらに、サンローズという店舗が設立され、百貨店時代の名残を持ちながら営業を続けましたが、2021年にはその運営も終了しました。

玉屋の歴史は、地域に根ざした商業活動の変遷を象徴するものです。百貨店としての存在が消えた後も、関連企業や活動を通じて、その名は今もなお地域社会に影響を与え続けています。

もう一度検索