小堀邦夫

小堀邦夫: 日本の神職と著作家

小堀邦夫（こほり くにお、1950年9月6日 - 2023年9月2日）は、神職としての長いキャリアを持つ日本の著作家や詩人でもあります。和歌山県で生まれた彼は、京都府立大学文学部を卒業後、皇學館大学大学院国史学専攻の修士課程を修了し、さらに國學院大學で神道学を学びました。1977年からは伊勢神宮での奉仕を開始し、神道に対する理解を深めていきました。

彼のキャリアの中で特に注目されたのは、1997年にハーバード大学で行った「Yayoi-replicater」（神宮の本質）という講演です。この講演では、伊勢神宮の重要性とその祭祀の背景についての視点を提供し、広く国際的な関心を呼びました。以降も彼は、神宮祭祀や制度史、式年遷宮制度などについて講演し、伊勢神宮から次世代へのメッセージを発信し続けました。

2018年3月1日には靖国神社の宮司に就任しましたが、そのわずか数ヶ月後、彼は神社内の定例会議で行った発言が波紋を呼びました。発言内容では、当時の天皇や皇太子夫妻に対しての批判が含まれており、靖国神社への訪問の重要性について賛否の意見を持ちかけました。彼は「陛下が一生懸命、慰霊の旅をすればするほど靖国神社は遠ざかっている」と述べ、神社の存在意義について疑問を呈しました。これが公になると、小堀は宮内庁に謝罪し、次第に退任の意向を示しました。

2018年10月31日、彼は靖国神社の宮司を退任し、自身の意見について「英霊の御霊は靖国にこそあり、戦地にはない」と強調した彼の意見が、神社の存在意義を問う重要な発言として記憶されています。また、彼の考え方には神社の未来への危機感があったことも後に語られました。

小堀は詩人としても活動し、1996年には詩集『魂の原郷』を出版しました。その他にも隨筆や書籍を数多く残しており、特に『伊勢神宮のこころ、式年遷宮の意味』や『靖國神社宮司、退任始末』が挙げられます。彼はまた、環境問題と神道、古代神祇制度史といったテーマについても知見を持ち、自身の見解を発信してきました。

2023年9月2日、彼は72歳でこの世を去りましたが、その思想と活動は日本の神道に多大な影響を与えました。小堀邦夫の歩みは、神道の伝統を守ることと、新しい時代へ向かう努力が求められる現代における重要なメッセージを示しています。

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