小塚逸夫 (政治家)

小塚 逸夫の生涯と業績

小塚 逸夫（こづか いつお、1851年4月14日 - 1898年3月1日）は、明治時代の愛知県において活躍した政治家であり実業家である。彼は愛知県会議員や県会議長として地域の政治の場で活動する一方、名古屋において名古屋電気鉄道や愛知電灯の設立にも関わり、実業界でもその名を知られる存在となった。

生い立ち

小塚逸夫は、尾張国中島郡上祖父江村（現在の愛知県一宮市上祖父江）で生まれた。彼の父は小塚直道で、幼名は好太郎であった。小塚家の家系は、国学者として活動していた祖父の影響を受けながら育ち、文化や教育に対する理解を深める環境で成長した。
1880年に行われた愛知県の第2回県会議員選挙で当選し、彼は初めて政治の舞台に立った。その後、何度も当選を重ね、県会での存在感を高めていった。特に1892年から1896年の間は、県会議長として財政改革や震災後の復興に尽力した。

政治活動と地域貢献

小塚は、県会議員としての活動に加え、地域の発展に寄与することにも情熱を注いだ。1886年と1888年には郡部会の副議長を務め、1890年には郡部会議長および常設委員に選出されるなど、その指導力を発揮した。また、県議会での活動を通じて、地域の福祉や経済発展に関心を持ち続けた。特に、濃尾地震の後には、その影響を受けた地域の財政処理に貢献し、県民の生活再建に寄与した。

実業家としての活動

政治活動と並行して、小塚は実業界にも進出した。1887年からは、自宅近くで材木商を開業し、貯木場を整備して事業をスタートした。しかし、震災や水害といった不運の中、5年ほどでこの事業は閉鎖を余儀なくされた。その後は、名古屋市内の鉄道敷設に乗り出し、馬車鉄道の設立を目指した。1894年には、愛知馬車鉄道株式会社を設立し、初代取締役社長に就任する。

電力事業への参入

さらに、小塚は電気事業にも着手した。1894年、濃尾地震による電灯需要の増加を受け、名古屋電灯に対抗する形で愛知電灯株式会社を設立した。開業は早く、1894年12月から名古屋市の一部で配電を開始し、電力事業においても頭角を現した。しかし、1896年には業界の競争が激化し、愛知電灯は名古屋電灯に吸収される結果となったが、小塚はその後も名古屋電灯の取締役会長として活躍した。

晩年と死

小塚は馬車鉄道の事業も進めていたが、1896年には電気軌道への変更が認められ、社名も名古屋電気鉄道に改められた。事業が進みかけた1898年、電車の試運転を前に彼は病に倒れ、同年3月1日に46歳で亡くなった。
小塚逸夫の生涯は、地域社会に多大な影響を与えたものの、短いものであったが、それでも彼の業績は今もなお語り継がれ、愛知県の発展に寄与したことは忘れられない。

もう一度検索