小山克事件

小山克事件について

小山克事件（しょうさんこくじけん）は、1945年8月13日に満州国吉林省の小山克で発生した悲惨な事件です。この日は、日本人避難民が武装した暴民によって襲撃され、多数の亡くなった人々と深刻な被害が生じました。本稿では、この事件の背景や経緯、発生した内容について詳しく解説します。

事件の背景

1945年8月9日未明、ソビエト連邦が満州国に侵攻しました。この時、満州国を防衛すべき関東軍は、米国や英国の南方戦線への兵力移動により大幅に戦力を削がれていました。そのため、関東軍は新京から南満州の通化へと総司令部を移し、南部と朝鮮半島を防衛ラインとする作戦を立てました。

8月10日、関東軍は避難民の移送を決定し、計画では第一列車は8月10日の午後6時に出発するはずでしたが、実際には遅れて8月11日の午前1時40分に出発しました。避難民の輸送優先順位は、当初の民間人、官僚、軍人の家族から、連絡が取りやすい軍人の家族を優先する形に変更されました。これにより、多くの一般住民が避難する前に、軍人の家族ばかりが脱出を果たしたことに疑問の声が上がりました。

8月11日までには、約38,000人の軍・官関係者の家族が避難列車で移送され、その後に民間の避難民も新京駅に集まり始めました。しかし、軍属の家族が再び避難する中、一般市民はその異変に気付いたとされています。

事件の発生

8月13日、満州国皇室が特別列車で新京を出発し、その後に続く避難列車が九台駅に到着しました。そこで武装した暴民たちが待ち構えており、列車を警備していた満人鉄道公安官は、暴力が振るわれない限りは彼らの行動を黙認しました。この結果、暴民たちは避難民から金品を奪い取ることに成功しました。

列車が次の目的地へ向かう中、吉林盆地にある小山克トンネルの手前で、暴民たちは線路を焼き払い、列車を停止させました。暴民は客車に侵入し、鉄道公安官を縛り上げた上で、日本の女性たちを次々と外に引きずり出し、無残にも暴行を加え始めました。抵抗した者は容赦なく射殺され、さらに女性が抱いていた乳児を窓から投げ捨てるという無惨な行為も行われました。この結果、百人以上の女性が絶望の中、崖から飛び降りて自ら命を絶とうとしました。

事件の知らせを受けた関東軍は、吉林駐屯の部隊を派遣し、8月14日の午前に現場に到着しました。暴民たちはその場から逃走を試みましたが、多くは射殺または捕らえられました。日本軍は被害者を救助してから線路を復旧させ、避難者を通化へと運びました。

しかし、その後通化で発生した「通化事件」でも再び多くの避難民が悲劇に見舞われることになります。

結論

小山克事件は、戦争の混乱がもたらした人々の悲劇の一例として歴史に記録されています。この事件は、当時の日本人避難民の苦悩を物語っており、今なお多くの歴史的教訓を残しています。

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