小島瑞

小島 瑞

小島 瑞（こじま みづ）は、大正10年（1921年）11月25日に現在の新潟県佐渡市泉で生まれた、日本の高名な病理学者、そして医師です。医学博士の学位を有し、福島県立医科大学名誉教授や筑波大学医学専門学群副群長、さらには水戸済生会総合病院顧問などを務め、日本の病理学の発展に貢献しました。

少年時代を新潟県で過ごし、昭和13年（1938年）3月に新潟中学校を四年で修了しました。その後、昭和16年（1941年）3月に新潟高等学校文科乙類を卒業。医学への道を志し、昭和19年（1944年）9月には新潟医科大学を半年早く卒業しています。

卒業後は太平洋戦争中の混乱期にあたり、海軍軍医として召集されました。海軍軍医学校に在籍中に終戦を迎え、昭和21年（1946年）1月に故郷へ戻りました。同年2月からは、新潟医科大学の病理学教室（赤崎兼義教授が指導）で研究生活を開始。昭和25年（1950年）1月には新潟大学より医学博士の学位を授与されました。

教育者、研究者としてのキャリアは、昭和27年（1952年）10月に福島県立医科大学病理学教室の講師に就任したことから本格的に始まりました。昭和29年（1954年）8月には、かつての師である赤崎兼義教授が率いる東北大学医学部病理学・病理解剖学第二講座の助教授に移籍。研究に邁進する傍ら、国際的な視野を広げるため、昭和34年（1959年）8月から約一年間にわたり、アメリカ合衆国コネチカット州にあるニューイングランド医学研究所へ留学し、最新の知見や研究手法を学びました。

帰国後、昭和35年（1960年）12月には福島県立医科大学病理学第一講座の教授に就任し、病理学教室の中心となって教育と研究を推進しました。昭和54年（1979年）4月には、筑波大学の基礎医学系病理教授に着任。翌昭和55年（1980年）6月には筑波大学医学専門学群の副群長となり、大学運営の要職も担いました。

昭和60年（1985年）3月に筑波大学を定年で退いた後も、研究と医療への情熱は衰えることなく、同年5月からは東京女子医科大学の客員教授、そして水戸済生会総合病院の顧問として活動を続けました。昭和62年（1987年）3月に東京女子医科大学を退職した後、平成元年（1989年）には長年の功績が認められ、福島県立医科大学名誉教授の称号が贈られました。

小島博士の病理学における主要な貢献は、網内系およびこれに関連する疾患に関する研究です。その研究成果は高く評価され、昭和32年（1957年）には東北大学医学部奨学賞金賞（「炎症の細胞病理学的研究」）、昭和52年（1977年）には第9回内藤記念科学振興賞（「細網内皮系統の細胞病理学的研究」）を受賞しています。

また、研究成果や長年の経験を広く伝えるため、多数の学術書や専門書の執筆・編集にも力を注ぎました。主な著書に『先天性網内系疾患』、編書に『新分類による 悪性リンパ腫アトラス』、『リンパ節の病理』などがあります。これらの著作は、病理学の分野で現在も重要な文献となっています。

平成7年（1995年）9月22日、小島 瑞博士は水戸済生会総合病院にて、胸部大動脈瘤破裂のため73歳でその生涯を閉じました。没後、長年の功績に対し、正四位および勲三等旭日中綬章が追贈されました。病理学者として、また教育者として、日本の医学界に残した功績は計り知れません。

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