小島達矢

小島達矢は、1987年に東京都で生まれた日本の小説家、推理作家です。現在は埼玉県さいたま市に在住しており、本名は変えていません。埼玉県立宮代高等学校を経て、東京電機大学工学部第二部を卒業しています。

大学を卒業した2009年、一度は就職しますが、わずか2ヶ月で退職する道を選びました。その後はアルバイトをしながら、小説の執筆に専念する日々を送ります。この時期の活動が実を結び、同年、短編集『ベンハムの独楽』で新潮社とフジテレビが共催する第5回新潮エンターテインメント大賞を見事に受賞しました。この賞は、選考委員を毎回一人の作家が務めるというユニークな形式をとっており、この回の最終選考を担当した荻原浩氏は、贈呈式で「気がつくと作者の術中にはまりドキドキしながらラストまでふわっと着地させられ、満場一致で受賞作と決めました」と絶賛の言葉を贈りました。そして、2010年に受賞作である『ベンハムの独楽』で小説家として正式にデビューを飾ります。

デビュー作となった『ベンハムの独楽』は、「アニュージュアル・ジェミニ」「スモール・プレシェンス」「チョコレートチップ・シースター」「ストロベリー・ドリームズ」「ザ・マリッジ・オブ・ピエレット」「スペース・アクアリウム」「ピーチ・フレーバー」「コットン・キャンディー」「クレイジー・タクシー」という、題材も雰囲気も異なる9つの短編が収められた作品集です。この多様な内容からも、初期段階から小島氏が幅広い表現力を持っていたことがうかがえます。

その後も精力的に執筆活動を続け、いくつかの単行本を発表しています。主な作品として、2012年の『夏休みの拡大図』（双葉社）、2013年の『ジューン・プライド』（文藝春秋）、2014年の『シュレーダーの階段』（双葉社）などがあります。『ジューン・プライド』もまた「ジューン・プライド」「ミルク・ロード」「スペース・トラブル」「プレジャー・ハンター」「ウィッシュ・ストーリー」を収録した短編集となっています。

単行本以外にも、アンソロジー『ベスト本格ミステリ2013』（講談社ノベルス）に「僕の夢」が収録されるなど、様々な企画に参加しています。また、『小説新潮』『小説すばる』『小説宝石』『レンザブロー』『別冊文藝春秋』『小説推理』『ジェイノベル』『メフィスト』といった数多くの文芸誌に短編を発表しており、コンスタントに新作を読者に届けています。

小説家としての活動に加えて、小島達矢氏は映画関連の活動にも熱心に取り組んでいます。柳下修平氏が主催する「映画ファンの集い」には常連として参加しており、映画への深い関心を示しています。さらに、2016年からはYouTubeチャンネルでトークバラエティ番組「どいらじ」の配信を開始しました。この番組内で自らを「映画凡人」と称し、「映画に詳しくはないけれど人並み以上に映画を愛している」と語るなど、専門家というよりは純粋な映画愛を持つ一視聴者としての視点から、軽妙なトークを繰り広げています。

このように、小島達矢氏はミステリーを基盤としつつも、枠にとらわれない多様な作風で小説を発表し続ける一方、多角的なエンターテインメント活動にも積極的に取り組んでいます。そのユニークなスタンスと幅広い活動は、今後のさらなる展開を期待させています。

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