小川進

小川進の経営学への貢献

小川進（おがわ すすむ、1964年生まれ）は、日本の経営学界で著名な研究者であり、特にユーザーイノベーションに関する研究で広く知られています。彼は神戸大学の名誉教授であり、現在は関西学院大学で教鞭をとっています。また、マサチューセッツ工科大学（MIT）での研究員（Research Affiliate）としても活躍しています。

学歴とキャリア

小川氏は1987年に神戸大学経営学部を卒業後、大学院で商学修士を取得し、1998年にはMITで経営学の博士号（Ph.D.）を取得。その後、2000年に神戸大学で商学博士の学位を授与されました。彼の経歴は、経営学の助手から始まり、1992年に専任講師、1994年に助教授、1999年には大学院大学の助教授として昇進しました。2003年には教授に就任し、2016年からはMITでの研究活動も行っています。

研究活動と業績

小川氏の研究は、特に企業戦略やイノベーションに焦点を当てており、彼の著書『稼ぐ仕組み』では、企業が持つ個々の戦略の重要性を論じています。彼は、経営を「総合芸術」として捉える視点を持ち、経営学の実務への応用に強い影響を与えてきました。

特に注目すべきは、ユーザーイノベーションの提唱者であるEric von Hippel教授の指導の下、彼が最初に経営学博士号を取得した日本人である点です。小川氏は、ユーザーイノベーションに関する重要な論文を共著し、毎年開催されるOUIカンファレンスに唯一参加を許可される日本人研究者です。

彼の最も引用された論文は、2006年に発表した「Reducing the risks of New Product Development」で、これはクラウドソーシングの概念を深める上での重要な作品とされています。この論文は、多数のビジネスメディアでも取り上げられ、選ばれるべきとして多くの研究者に支持を受けています。

また、消費者イノベーションに関する国際比較においても先駆的な研究を行い、その成果は『The age of the consumer-innovator』という論文に結実しています。これは消費者がイノベーションを行う過程を世界各国で調査したものであり、非常に貴重な研究として評価されています。

教育と実務

小川氏は教育者としても高い評価を受けており、学生や社会人への指導において実務的な視点を重視しています。彼のゼミからは、さまざまな業界で活躍する多くの優秀な卒業生が輩出されています。さらに、企業と連携したプロジェクトにも積極的に参加し、実務的な知見を生かした教育を行っています。

また、彼は経営書の書評も執筆し、その年度のベスト経済図書に選出されることも多く、読者にとって価値ある情報を提供し続けています。日本経済新聞の年末の特集では選者としても活躍しており、過去17回のうち16回に選ばれています。

おわりに

小川進氏は、理論と実践の両面で経営学に多大な貢献をしてきた人物であり、彼の研究と著作は、多くの研究者や実務家に影響を与え続けています。彼の活動は、日本の経営学が国際的に評価されるための重要な基盤を築いています。

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