小手川準

小手川準調教師：異色の経歴と将来への展望

小手川準調教師は、1971年11月16日、東京都町田市出身。競馬への関心は、小学生時代にテレビ中継で見た名馬ミスターシービーやシンボリルドルフがきっかけだった。以来、競馬の魅力にとりつかれ、熱心なファンとして毎週欠かさずレースを観戦するようになった。特に、寺山修司の競馬エッセイを愛読した影響からか、主役ではなく脇役の馬を応援することが多かったというエピソードも興味深い。

一橋大学社会学部在学中は、元競馬記者である片山良三氏に声をかけられ、日刊アスカで競馬記者のアルバイトを経験。美浦トレーニングセンターや競馬場で取材活動を行う中で、騎手や厩務員らと交流を深め、厩舎での仕事に魅力を感じるようになった。

大学中退という大きな決断を経て、調教助手であった戸田博文氏に紹介されたナルタ牧場で厩務員の修業を開始。その後、JRA競馬学校厩務員課程を経て、諏訪富三厩舎、浅野洋一郎厩舎、そして小桧山悟厩舎と、数々の厩舎で経験を積んだ。特に小桧山厩舎では約19年間在籍し、調教師としての基礎を築いた。

小桧山氏らの勧めもあり、調教師を目指し、5度目の挑戦でJRA調教師免許試験に合格。開業までの1年間は、小桧山氏をはじめ、田中博康氏、武幸四郎氏といった若手調教師の下で研鑽を積み、さらには社台ファームやノーザンファームといった名門牧場、そしてイギリスやアイルランドへの海外研修にも積極的に参加した。

2020年、美浦トレセンに自身の厩舎を開業。開業祝いには、大迫久美子氏や了徳寺健二氏など、多くの馬主から花が届いたという。厩舎カラーは、愛情と楽しさを表すピンクと、冷静さとひたむきさを表すブルー。イメージキャラクターの馬は、イラストレーターのおがわじゅり氏によるデザインだ。

開業当初は苦労もあったが、2020年7月12日、函館8レースでミニオンペールが勝利し、初勝利を飾った。その喜びをスタッフと分かち合ったというエピソードからも、人情味あふれる人物像がうかがえる。

その後も、ヒュミドールで大阪杯にG1初出走を果たすなど、着実に実績を積み重ねる。そして、2023年5月2日、かきつばた記念でウィルソンテソーロが勝利し、重賞初制覇を達成。ウィルソンテソーロは、ドバイワールドカップやコリアカップにも挑戦するなど、国際舞台でも活躍している。さらには、2024年11月4日にはJBCクラシックを制覇し、開業5年目にして悲願のGI級競走初制覇を成し遂げた。

小手川調教師は、レースでは山田敬士氏、原優介氏、佐藤翔馬氏、菊沢一樹氏といった若手ジョッキーを積極的に起用するなど、人材育成にも力を入れている。

プライベートでは、プロ野球の阪神タイガースの熱狂的なファンであることも有名。幼少期は天文学者を夢見ていたという意外な一面も持ち合わせている。

小手川調教師の今後の活躍、そして若手騎手たちの成長に、目が離せない。

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