小松暢

小松暢（こまつ のぶ）: 漫画家やなせたかしの妻

小松暢は1918年に高知県高知市に生まれ、1993年11月に癌により亡くなった日本の女性漫画家やなせたかしの妻です。彼女は高知新聞社に入社し、『月刊高知』の編集者として活躍し、同社の初の女性記者とも言われています。小松は、その信念を持ちながら、さまざまな職業を経て漫画家を目指したやなせを支える存在となりました。

幼少期とキャリアの始まり

高知市での小松の成長は、当時の社会情勢や文化背景を反映するものでした。彼女もまた、幼いころから読書や文学に興味を持ち、それが編集者としての道を選ぶきっかけとなりました。高知新聞社では、彼女は才気溢れる編集者として知られ、やがて漫画家を目指すやなせたかしと運命的な出会いを果たします。

やなせたかしとの出会い

高知新聞での業務中、やなせたかしは小松の前の席に座っており、彼の作品や情熱に魅了された小松は、次第に彼に惹かれていきました。やなせはその当時のことを、「すぐに好きになった」と回想しています。彼女の影響を受けながら、やなせは東京に出て漫画家としての夢を追いかけることとなります。小松にとっても、彼との結婚は人生の重要な転機となりました。

夫を支える強い情熱

小松はやなせが漫画家として成功するための支えとなり、「収入がなければ私が働いて支えるから」と言います。この言葉に励まされてやなせは漫画の世界での挑戦を続けました。彼は後年、「仕事以外は全てカミさんに頼っていた」と述懐し、小松の存在の大きさを強調しました。小松の支えがあったからこそ、やなせたかしは数々の作品を世に送り出ことができたといえるでしょう。

個性的な性格と信念

小松は「ハチキンおのぶ」「韋駄天おのぶ」といったあだ名を持ち、気性は非常に男勝りでした。彼女は常に自己主張を忘れず、周囲の期待に応え続けました。雷が鳴ると「もっと鳴れ！」と叫ぶような大胆さも持ち合わせており、彼女の性格は周囲にしっかりとその存在感を示していました。

また、脚本家の中園ミホによると、小松は「正義は逆転することがある」といった言葉でやなせを励ましたとのことです。これは小松の深い人間理解と同情心を表しています。家庭内では、やなせから「おぶちゃん」と呼ばれ、彼女にとって親しい存在であったことを伺わせます。

小松暢を描いた作品

小松の生涯や彼女の影響を描いた作品も存在します。2013年にはNHK BSプレミアムのプレミアムドラマ『忘れないで夢を〜漫画家やなせたかしと妻・暢〜』が制作され、石田ひかりが小松を演じました。また、2025年度に放送予定のNHK連続テレビ小説『あんぱん』では、今田美桜が小松の役名で派生キャラクター「朝田のぶ」を演じることが決まっています。これらの作品を通じて、小松暢の存在と、やなせたかしとの深い絆を多くの人々に伝えています。

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