小松陣屋

小松陣屋は、現在の愛媛県西条市小松町新屋敷に位置し、江戸時代に小松藩の藩庁として機能しました。この陣屋は、寛永13年（1636年）に一柳直頼によって築かれたのが始まりです。

一柳直頼は、伊勢国神戸城主であった一柳直盛の三男として生まれました。父である直盛が伊予国西条へ移封される途中に大坂で亡くなったため、その遺領の一部である1万石を直頼が分与され、小松に陣屋を構えることとなりました。以後、直頼から9代目の頼明の時代まで、一柳家が小松の地を治めました。

陣屋には、2つの櫓門と3つの門が設けられ、太鼓櫓が上げられていました。内部には、藩主の邸宅である御殿や家臣たちの住居、厩などが配置され、藩の行政機能と藩主の生活空間が一体となっていました。戊辰戦争においては、小松藩は新政府軍の一員として参戦しています。

現在、陣屋のあった場所は住宅地へと姿を変えていますが、武家屋敷の一部が当時の面影を残しています。菩提寺である仏心寺には、供待、御霊屋門、庫裡（会所建物）が現存しており、往時の様子を偲ぶことができます。また、陣屋の門の一部は、市内の神社や寺院に移築され、現存しています。宗像神社の門は坂下門、徳蔵寺山門は御竹門、覚法寺山門は太鼓櫓として、それぞれ姿を変えながらも、その歴史を今に伝えています。

小松陣屋は、小松藩の歴史と文化を伝える貴重な遺産であり、地域の歴史を語る上で重要な存在です。これらの遺構を巡ることで、江戸時代の藩政や武士の生活に触れることができるでしょう。

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