小林哲生

小林 哲生

小林哲生（こばやし てつお）氏は、日本の生体医工学分野における重鎮です。特に、脳機能の非侵襲的な計測技術である脳機能イメージングや、視覚系の神経科学に関する研究で国際的に知られています。長年にわたり大学で教鞭を執り、現在では京都大学名誉教授の称号を持ち、国際複合医工学会（ICME）の副理事長としても精力的に活動しています。

経歴

北海道に生まれ育った小林氏は、1975年に北海道室蘭栄高等学校を卒業後、北海道大学工学部電子工学科へと進みました。1979年に同学部を卒業し、さらに専門性を深めるため、同大学大学院工学研究科の博士課程に進学。1984年に課程を修了し、工学博士の学位を取得しました。

研究者としての第一歩は、1984年に北海道工業大学の講師として始まりました。1986年には同大学の助教授に昇進し、教育と研究に携わりました。その間、国際的な視野を広げるため、1987年にはアメリカ合衆国のロチェスター大学に客員研究員として滞在し、最先端の研究環境に触れました。

1992年には北海道大学電子科学研究所に移籍し、講師として勤務。1994年には同研究所の助教授となり、研究グループを率いる立場となりました。また、1996年にはカナダのサイモンフレーザー大学で客員准教授を務めるなど、海外の研究機関との交流も深めました。

2004年からは、日本の学術研究の中心の一つである京都大学に移り、大学院工学研究科電気工学専攻の教授として招聘されました。ここでは、生体医工学分野、特に脳機能計測技術に関する教育・研究を推進しました。2017年には同学科の専攻長として、組織運営にも手腕を発揮しました。2022年に京都大学を定年退職した後も、京都大学オープンイノベーション機構の特定教授として研究活動を継続しており、同時に京都大学名誉教授の栄誉を受けています。

研究分野と学会活動

小林氏の研究は、生体と工学を結びつける生体医工学を基盤としています。特に力を注いできたのは、脳機能イメージングと視覚神経科学です。これらの分野において、脳の活動を計測し、人間の認知や行動のメカニズムを理解するための新しい技術開発や基礎研究を進めてきました。

国内外の主要な学会活動にも積極的に関与しており、生体医工学および関連分野の発展に貢献しています。国際複合医工学会（ICME）では副理事長という要職を務め、国際的な連携強化に尽力しています。また、国際脳電磁図トポグラフィ学会（ISBET）の理事、日本生体磁気学会の理事および監事など、様々な学会で重要な役割を担ってきました。

主な受賞歴

長年にわたる顕著な研究業績は、国内外の多くの学術機関から高く評価されています。以下にその主な受賞歴を挙げます。

2008年 国際複合医工学会 ベストペーパーアワード
2009年 国際複合医工学会 ベストペーパーアワード
2009年 国際脳電磁図トポグラフィ学会 ベストペーパーアワード
2011年 IEEEマグネティクソサイアティ ベストポスターアワード
2013年 国際複合医工学会 ICME Special Talk Award
2016年 国際複合医工学会 フェロー
2017年 日本生体医工学会 生体医工学シンポジウム2017 ベストレビューワーアワード
2018年 日本ヒト脳機能マッピング学会 ベストポスターアワード
* 2018年 国際医用生体工学連合 James Zimmerman賞

これらの受賞は、小林氏の研究が国際的に高いレベルにあること、そしてその成果が広く認められていることの証です。

まとめ

小林哲生氏は、生体医工学、特に脳機能の研究分野において、教育、研究、学会活動の多方面から貢献してきた優れた研究者です。その功績は、今後のこの分野の発展においても重要な基盤となるでしょう。

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