小林昇

小林 昇（こばやし のぼる）について

小林昇は、1916年11月1日生まれの日本の経済学者であり、主に経済学史を専門としていました。彼は東京大学から経済学博士の学位を取得し、福島大学や立教大学などで名誉教授として教鞭を執りました。日本学士院の会員でもあり、彼の業績は経済学界に多大な影響を与えました。

学問の道を歩む

小林は、京都市に生まれ、その後東京に移り住みました。東京帝国大学経済学部を卒業後、1940年に福島高等商業学校講師に就任します。しかし、彼の学問の道は平坦ではありませんでした。1944年には召集令状を受け、兵役に従事。特に印象的な出来事として、彼は輸送船の日永丸が米国潜水艦の攻撃を受けて沈没した際、竹筏で漂流する経験をしています。この経験は彼のその後の人生や仕事に大きな影響を与えたと言われています。

1946年に戦後福島に戻り、復職を果たし、その後は福島大学経済学部の設立にも尽力しました。1955年から82年まで立教大学で教授を務め、経済学史におけるドイツ経済学の新しい枠組みを開くことに寄与しました。特に、フリードリッヒ・リストに関する研究で名を馳せ、その業績は学界で高く評価されています。

主な著作と業績

小林はその研究成果を多くの著作に残しており、そのいくつかは未來社から出版された『小林昇経済学史著作集』に収められています。この全11巻の著作集は、彼の広範な研究の集大成であり、経済学の発展における重要な文献の一つとされています。また、彼は短歌にも秀でており、私家版の歌集を出版するなど、多才な一面も持ち合わせていました。特に『シュワーベンの休暇』などの作品は、彼の文学的センスを感じさせます。

私生活と趣味

彼の家庭環境は、学者の家庭に育ったという背景があります。妻も東京女子大学を卒業した学者として知られており、強い絆と共に学問に取り組んだとされています。小林は家族との時間を大切にしつつ、また個人での短歌制作やこけしの収集など、趣味に積極的に取り組みました。東京こけし友の会に加入し、彼のコレクションは福島市の西田記念館に寄贈されるなど、その活動が広がっていました。

死去と遺産

小林昇は2010年6月3日に94歳で亡くなりました。彼の死後、故人を偲ぶ会が開かれ、彼の遺した業績や影響力は今なお語り継がれています。彼の発表した著作や研究は、経済学の学びを深めるための貴重な資料となっており、後世の研究者や学生にもその教えが受け継がれています。小林昇の存在は、日本の経済学史の中で特に重要な位置を占めており、彼の業績は今後も学界において重視され続けることでしょう。

もう一度検索