小林栄三

小林栄三：情熱と人間力で時代を切り拓く実業家

小林栄三氏は、1949年1月7日に福井県で生まれました。父親は文雄氏、母親は千秋氏であり、三男として育ちました。母方の伯父には、福井県知事を長年務めた中川平太夫氏がいます。小林氏は、気丈な母親から「動揺しない心」と「広い心」という、人生において重要な心のあり方を学びました。

若き日の経験

福井県立若狭高等学校では、全国的にも珍しい「縦割りホームルーム制」が採用されており、学年や学科を超えた活発な交流を通して、コミュニケーション能力が磨かれました。小林氏は、「人と話すことが好き」で、「人を肯定的に捉える人間観」や「多様な個性をまとめ上げるリーダーシップ」の基礎を、この高校時代に築きました。

大阪大学基礎工学部物性物理工学科に進学すると、その人当たりの良さから、自宅や下宿には常に友人や知人が集まり、活発な議論が交わされました。この経験を通して、人間関係を何よりも大切にする「人間力」を培いました。

伊藤忠商事での活躍

1972年、小林氏は「モノよりも人に興味がある」という理由から、商社である伊藤忠商事に入社しました。電子機器部電子機器第二課を皮切りに、エレクトロニクス、情報産業、IT、インターネット事業など、時代の最先端を走る分野で活躍しました。1976年から1980年まで香港支店に勤務した後、1982年には伊藤忠エレクトロニクス株式会社に出向。1986年から1994年までロサンゼルスに駐在しました。

帰国後は、情報産業・メカトロシステム部でコンピュータや情報機器の販売に従事し、1999年から2002年にかけて情報部門長を務めました。インターネットが普及し始めた頃には、全社横断的組織「ネットの森」の責任者として、各カンパニーにおけるネットビジネスの立ち上げを支援しました。また、1999年には、子会社である伊藤忠テクノサイエンス（CTC、現在の伊藤忠テクノソリューションズ）の上場において中心的な役割を果たし、グループに大きな利益をもたらしました。

2000年に執行役員、2002年に常務執行役員に就任し、経営企画、財務、経理、審査などの要職を歴任。2003年には経営企画、事業、総務、法務担当役員として、全社の経営企画に携わりました。同年6月には常務取締役、2004年4月には専務取締役、同年6月には取締役社長に就任し、2010年4月には会長に就任しました。

2022年には、その長年の功績が認められ、旭日重光章を受章しました。

小林栄三氏の信念

小林氏は、「愛情」を非常に大切に考えており、「愛情の反対は無関心である」と述べています。また、「無視こそがコミュニケーションの最大の敵」とし、常に人に関心を持って接することの重要性を説いています。

社員に対しては、「夢を持つこと」を強く推奨しており、夢をビジョンに落とし込み、さらに戦略、戦術へと具体化していくことの重要性を説いています。

商社の強みは、世界と日本、企業と企業を「繋ぐ力」にあると考えており、商社ビジネスを「川の流れを作る」ことに例えています。川上に供給、川下に需要があり、川中には物流や金融がある中で、商社にはそれらを繋ぐ役割があると述べています。

地方活性化については、これまでの「点」での捉え方ではなく、「面」での発想が必要だと主張しています。観光を例に挙げ、福井県の観光資源が点在している現状を指摘し、京都のように地域全体で観光資源を面として捉えることの重要性を説いています。

社会的活動

小林氏は、実業界での活躍だけでなく、様々な社会的活動にも積極的に参加しています。

日本・トルコ協会副会長（2010年7月～）
経団連審議員会副議長（2011年5月～2015年6月）
経済同友会副代表幹事（2012年4月～2016年4月）
行政改革推進会議有識者メンバー（2013年2月～）
福井県「考福塾」塾長（2013年4月～）
福井県立若狭高等学校同窓会「関東青戸会」会長（2014年10月～）
日本貿易会会長（2015年5月～）
日本銀行参与（2015年6月～）
日本中央競馬会経営委員会委員（2015年9月～）
日本食品海外プロモーションセンター(JFOODO)センター長（2017年4月～）
* 全国法人会総連合会長（2017年8月～）

これらの活動を通して、経済界、地域社会の発展に貢献しています。

小林栄三氏は、その卓越したリーダーシップと人間力で、伊藤忠商事だけでなく、日本の経済界全体を牽引する存在です。常に人に関心を払い、夢を追い求める姿勢は、多くの人々に勇気を与え続けています。

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