小池光典

小池光典（こいけ みつのり）

小池光典氏は、1948年7月28日に長野県松本市に生まれた、日本の代表的な石の彫刻家の一人です。彼の創作活動は国内にとどまらず、世界各地に及び、スケールの大きな野外彫刻やモニュメントを数多く生み出しています。

経歴と創作への歩み

地元の松本深志高校を卒業後、小池氏は彫刻家としての道を志す決意を固めました。その学びの場として選んだのは、石彫刻の本場であるイタリアのカラーラ美術アカデミー、そしてアメリカのバーモント州立大学です。これらの海外での経験は、彼に国際的な視野と多様な技術をもたらし、石という素材と向き合う上での基礎を築きました。留学を経て石の彫刻家として確固たる地位を確立していきます。

国際的な活動と作品

小池氏のキャリアにおいて特筆すべきは、世界各地で開催される国際彫刻シンポジウムへの積極的な参加です。彼はこれらの場で、短期間のうちに大型の野外彫刻を制作する技術と創造性を発揮し、多くの国々に自身の作品を残してきました。モニュメントとして設置された作品は、公共空間に新たな景観と意味を与えています。

具体的には、アメリカ（バーモント州のバーリントンスクエアーやバッテリーパーク）、オーストリア（リンダブルン野外彫刻公園）、ベトナム（Pue Tho野外彫刻公園）、アラブ首長国連邦（ドバイのEMAARインターナショナル）、レバノン（ラシャーナ彫刻公園）、インド（ウタラヤン・ジャスパーアートセンター、リライアンス・ノレッジセンター、ITM University各キャンパス）、韓国（Goyang彫刻公園、2016年）、中国（WuFhu彫刻公園）、トルコ（Tas Heykel Kolonishi彫刻公園）など、その活動の場は多岐にわたります。2023年には、ラトビアのペデバール野外彫刻公園に、ウクライナ支援を目的としたモニュメントを制作するなど、社会的なメッセージを込めた作品も手がけています。

日本国内での活動

日本国内においても、小池氏は精力的な創作活動を行っています。石の彫刻家としての制作に加え、造園の設計も兼業しており、空間全体のデザインの中に自身の彫刻を位置づける視点も持ち合わせています。個人や企業からの依頼によるモニュメント制作も数多く手がけており、地域の景観や施設のシンボルとなる作品を生み出してきました。

主な国内作品としては、諏訪湖彫刻公園、多摩ショッピングセンターモニュメント、セイント・タワー甲府モニュメント、松本合同庁舎モニュメント、松本市民タイムスモニュメント、信州博覧記念野外彫刻公園、小海町町政40周年モニュメントなどがあります。

また、従来の彫刻の枠を超えた試みとして、2000年以降は石を用いたクラフト作品の制作にも実験的に取り組んでいます。

教育活動と現在の拠点

彫刻家としての活動と並行して、小池氏は教育活動にも力を入れています。特にアメリカ、バーモント州ウエストロットランドのワークショップにはレジデンスアーティストとして度々招かれ、一般の人々への彫刻指導や展覧会への参加を通じて、彫刻芸術の普及に貢献しています。

現在、小池氏は自身の故郷である長野県に拠点を置き、原村の判の木彫刻スタジオで数名の彫刻家と共に日々創作に打ち込んでいます。

結び

小池光典氏は、留学で培った国際的な視野、世界の多様な文化との交流から得たインスピレーション、そして石という素材への深い理解と探求心をもって、国内外で壮大な作品群を築き上げてきました。国際シンポジウムでの活躍、多岐にわたる制作活動、そして後進の指導など、その存在は現代彫刻界において重要な位置を占めています。彼の作品は、公共空間において人々と石の間に新たな対話を生み出し続けています。

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