小浜藩領承応元年一揆

小浜藩領承応元年一揆

小浜藩領承応元年一揆は、江戸時代初期の承応元年（1652年）に、若狭国小浜藩（現在の福井県小浜市）で発生した農民一揆です。この一揆は、藩による年貢米の代わりに大豆を徴収する政策の変更が、農民の生活を圧迫したことが原因で発生しました。

一揆の背景

小浜藩では、年貢として大豆を徴収する制度がありました。当初、大豆1俵あたり4斗が年貢として徴収されていましたが、藩主が京極氏から酒井氏に変わる際に、大豆の徴収量が4斗5升（または5斗）に引き上げられました。この増税は、農民にとって大きな負担となり、生活を困窮させる要因となりました。

農民の抵抗

農民たちは、この年貢増徴に強く反発し、寛永17年（1640年）には、小浜藩内の252か村の惣代が、年貢引き下げを求めて藩に訴願を行いました。しかし、藩は農民の訴えを認めず、その後も農民たちは繰り返し訴願を行いましたが、状況は改善されませんでした。

松木荘左衛門の逮捕と処刑

慶安元年（1648年）、藩は一揆の指導者と見なされた松木荘左衛門を含む惣代たちを逮捕しました。藩の厳しい取り調べにより、他の惣代たちは次々と藩に屈服しましたが、松木荘左衛門は最後まで主張を曲げませんでした。承応元年（1652年）、藩は松木荘左衛門を磔刑に処しましたが、その後、年貢は以前の4斗に戻されました。この結果、松木荘左衛門は農民たちから義民として称えられ、祀られることになりました。

一揆の影響

小浜藩領承応元年一揆は、藩政に対する農民の抵抗を示す重要な事例として知られています。松木荘左衛門の不屈の精神は、農民の間で語り継がれ、義民として敬意を集めています。この一揆は、年貢増徴に対する農民の抵抗運動の象徴として、歴史にその名を刻んでいます。

参考文献

* 保坂智「小浜藩領承応元年一揆」（『日本歴史大事典 1』、小学館、2001年）ISBN 978-4-095-23001-6

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