小澤知雄

小沢 知雄（おざわ ともお）氏は、1918年に生まれ、2016年7月21日に逝去した日本の高名な造園学者、緑化工学者です。特に造園地被学や芝草の研究において、その名を広く知られています。東京農業大学では長きにわたり教育・研究活動に専念し、名誉顧問および名誉教授の称号を贈られました。また、同大学の緑友会名誉会長も務めました。学術界においては、日本造園学会の会長を歴任したほか、同会および日本芝草学会の名誉会員として、その発展に多大な貢献をしました。さらに、東京農業大学総合研究所芝草部会の会長も務め、芝草研究の第一人者としての地位を確固たるものにしました。その学術的な功績により、農学博士号を取得しています。

小沢氏の経歴は、1941年12月に東京農業大学を繰り上げ卒業したことから始まります。卒業後、日産農林工業株式会社に入社し、研究職として農園部企画課に配属されました。この間、軍の応召を受ける機会がありましたが、健康診断の結果、兵役に就くことはありませんでした。終戦後の1947年からは、母校である東京農業大学の園芸研究室に無給の副手として籍を置く傍ら、国本女学校で週二日の非常勤講師として教鞭をとりました。同年9月には、農大の助手として正式に採用されることになります。

その後、新宿御苑での併任勤務を経て、1953年2月1日付けで文部教官、そして東京大学農学部の助手となりました。東京大学在籍中の1961年には、長年の研究成果が認められ、博士号を取得しています。1962年6月からは、再び東京農業大学に戻り、造園学科の助教授に就任しました。さらに1966年には教授へと昇任し、教育および研究の中心的役割を担うことになります。1972年から15年間にわたり、大学の評議員や理事としても大学運営に深く関与しました。1977年には造園学科長に就任し、学科の発展に尽力しました。1988年に大学を退職した後、名誉教授の称号を授与されました。

研究者としては、特に地被植物や芝草に関する研究で顕著な功績を残しました。「芝の日射要求度に関する研究」は、日本造園学会賞論文調査部門を受賞するなど、高く評価されています。このほかにも、日本公園緑地協会北村賞、そして日本造園学会上原敬二賞といった、造園学分野における権威ある賞を複数受賞しており、その研究成果と学界への貢献の大きさが伺えます。

また、氏の知識は多くの著作を通じて後進に伝えられています。主な著書としては、

蔭山力氏との共著である『作物栽培の基礎知識』（鷺ノ宮書房、1951年）
『芝生専科 : 芝生のつくり方と手入れの仕方』（誠文堂新光社、1967年）
近藤三雄氏との共著による『グラウンドカバープランツ-地被植物による緑化ハンドブック』（誠文堂新光社、1987年）
監修を務めた『芝生の庭づくりと手入れ』（文化出版局、1986年）

などがあり、これらは造園や緑化に関わる多くの人々に影響を与えました。

小沢知雄氏は、教育者、研究者、そして学会のリーダーとして、日本の造園学および緑化工学の発展に生涯を捧げました。特に地被植物や芝草に関する専門知識と実践的なアプローチは、今日の緑化技術の基礎を築く上で不可欠なものとなっています。その功績は、今後も長く記憶されることでしょう。

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