小田急キハ5000形気動車

小田急キハ5000形気動車の概要

小田急キハ5000形気動車は、1955年から1968年にかけて小田急電鉄の運用で利用されていたディーゼル気動車です。この形式は、小田急線と国鉄御殿場線との直通運転を目的に導入され、特に御殿場線の電化が進むまで活躍しました。全車両は1968年に関東鉄道に譲渡され、その後も利用されました。

1. 開発の経緯

この気動車の導入は、第二次世界大戦中に九州にいた際、東海道本線が空襲を受けたことから生まれた構想にさかのぼります。戦後は東京急行電鉄が策定した「鉄軌道復興3カ年計画」の中に小田急線と御殿場線を直通させる計画が含まれ、この計画に基づいて運行が検討されました。1952年には国鉄が地方線区の気動車化を進めていたこともあり、これに合わせた設計の開発が進められました。

2. 車両の設計

キハ5000形の設計は、主に国鉄のキハ45000形やキハ44600形を参考にしていますが、御殿場線特有の勾配に適応するために、主機の出力を増強するなどの特徴があります。

車体

キハ5000形は全金属製車体を有し、全長は20,560mm、車幅は2,620mmで設計されています。外観は青と黄色のデザインが特徴で、特急色が施されました。正面は貫通型で、3枚の窓を持ち、乗降扉は手動の片引き扉でした。

内装と定員

車両内の内装はクリーム色のデコラ板で仕上げられ、クロスシートが配置されています。定員は当初94名に設定されていましたが、シートの配置やスペースから利用者からの苦情もあり、後の改造で定員が見直されました。

3. 運行開始とその後の増備

キハ5000形は1955年10月1日に運行を開始しました。特別準急として新宿と御殿場を結ぶ列車運行に従事し、特別なヘッドマークが設けられ、運行中には車内販売も行われました。初運行から順調に人気を集めましたが、狭いシートピッチに対する苦情も多く寄せられていました。

その後、1960年代に入ると、利用者の増加に応じてキハ5100形が追加で造られ、運用が改善されました。この形式は、より広いシートピッチのボックスシートを備え、定員が82名に調整されました。

4. 廃車と譲渡

御殿場線が電化された1968年、キハ5000形及びそのバリエーションは廃止されました。この後、4両すべてが関東鉄道に譲渡され、改造を受けて運用されました。

関東鉄道での改造

譲渡後の改造により、座席はロングシート化され、客用扉も増設されましたが、元の設計を生かしつつ活用され続けました。

5. 年表

小田急キハ5000形の歴史は次のような重要な出来事によって彩られています。

• - 1955年8月: キハ5000形竣工
• - 1955年10月: 運行開始
• - 1968年6月: 最終運行
• - 1968年12月: 関東鉄道へ譲渡

このように、小田急キハ5000形気動車は、戦後の鉄道網発展の一部として重要な役割を果たしました。路線による電化とともにその役割は終了しましたが、長い歴史を持つ重要な車両でした。

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