小谷誠

小谷 誠（こたに まこと）氏は、1937年9月25日に生まれ、日本の医用生体工学分野において顕著な功績を残した研究者・教育者です。

略歴

高知県の農家に次男として生まれた小谷氏は、1956年に高知県立中村高等学校を卒業しました。学業を続け、1961年に東京電機大学工学部の電気通信科を卒業。さらに同大学の大学院工学研究科に進み、1964年に修士課程を修了しました。その後も研究を深め、1973年には東京電機大学から工学博士の学位を取得しています。研究者としての視野を広げるため、1975年にはマサチューセッツ工科大学にて客員研究員として海外での経験を積みました。

学術・研究活動

海外での研究活動を経て、1977年より東京電機大学工学部の教授として教壇に立ち、多くの学生の指導にあたりました。専門である医用生体工学、特に生体磁気学の研究において第一線で活躍し、その成果は国内外で高く評価されました。学内では、1995年に工学部第一部長に就任するなど、大学運営の一端も担うようになります。

学会活動においては極めて精力的に活動しました。1997年には日本生体磁気学会の会長を務め、同学会の発展に貢献しました。また、日本生体医工学会では副会長を務め、同学会の運営や学術活動の推進に尽力しました。生体磁気国際会議の会長を務めるなど、国際的な舞台でも日本の研究者を代表する存在でした。他にも、ライフサポート学会や日本ME学会など、関連分野の主要な学会で要職を歴任し、学術交流の促進や研究水準の向上に大きく貢献しています。

大学運営と社会貢献

教育者としてのキャリアの頂点として、1998年から東京電機大学の学長を務めました。大学の最高責任者として、教育研究環境の整備や大学の将来像の構築にリーダーシップを発揮しました。学長退任後も、2008年に東京電機大学の名誉教授の称号を贈られ、また、2016年まで大学顧問を務めるなど、母校との関わりを深く持ち続けました。学校法人東京電機大学の理事も複数回務めています。

学術分野だけでなく、社会貢献活動にも積極的に取り組みました。企業の経営にも関与し、2005年には理研計器株式会社の監査役、2013年にはカシオ計算機株式会社の取締役に就任しました。公益財団法人磁気健康科学研究振興財団の理事長として、関連分野の研究振興に貢献したほか、北里大学医学部の客員教授としても活動しました。さらに、大学評価・学位授与機構の大学評価専門委員や、財団法人カシオ科学振興財団の選考審査委員なども務め、教育・研究振興のための幅広い活動に従事しました。

受章・栄誉

長年にわたる教育、研究、学会活動、社会貢献における顕著な功績が認められ、2015年秋には瑞宝中綬章を受章するという栄誉に浴しました。また、その多大な貢献から、日本ME学会、日本生体医工学会、日本コンピュータ外科学会、日本生体磁気学会といった複数の主要な学会から名誉会員の称号を贈られています。これらの栄誉は、小谷氏が生涯をかけて日本の医用生体工学分野の発展に捧げた情熱と努力の証と言えるでしょう。

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