小郷三朗

小郷三朗：サントリーのマーケティング戦略をリードする実業家

小郷三朗氏は、1954年生まれの日本の実業家であり、サントリー食品インターナショナル取締役会長の重責を担っています。大阪市出身で、大阪教育大学附属高等学校池田校舎を経て、1977年に京都大学法学部を卒業後、サントリーに入社しました。

サントリーでのキャリアとマーケティングへの貢献

サントリー入社後は、ウイスキーや飲料のマーケティング、営業部門で幅広く活躍しました。長年にわたるサントリーでのキャリアの中で、氏は数々の重要な役割を担ってきました。取締役、サントリーホールディングス常務取締役を経て、2009年にはサントリー食品インターナショナル専務取締役に就任。その後、2012年に副社長、2016年には代表取締役社長に昇格し、サントリー食品インターナショナルを率いてきました。2019年3月には代表取締役会長に就任し、現在に至ります。

小郷氏のキャリアの中で特に注目すべきは、そのマーケティング戦略における卓越した手腕です。ウイスキーから緑茶飲料『伊右衛門』まで、実に11年間もの間、宣伝活動に携わってきました。その経験から培われた深いマーケティングの知識と実践力は、業界内でも広く知られています。

失敗から学ぶ：サントリー「サスケ」とマーケティング戦略

しかし、小郷氏のキャリアは成功体験ばかりではありません。産経新聞のインタビューで語られた、1970年代に発売された炭酸飲料『サスケ』の失敗談は、その経験から多くの教訓を得ていることを示しています。コカ・コーラに対抗すべく開発された『サスケ』は、市場で大きな成功を収めることができず、小郷氏は「目立った失敗」としてこの経験を振り返ります。この失敗を通して、氏は消費者のニーズを的確に捉え、商品開発やマーケティング戦略に反映させることの重要性を痛感しました。

消費者の視点と高付加価値商品戦略

小郷氏は、サントリー創業者の鳥井信治郎の「やってみなはれ」の精神を受け継ぎ、数々の挑戦を繰り返してきました。その結果、数々の失敗を経験しながらも、消費者の視点に立って商品開発やマーケティングを行うことの大切さを学びました。デフレ進行下で低価格化が進む飲料業界において、利益を上げるための氏の戦略は、「各カテゴリーで商品を投入し、カテゴリー内で2位以内に入る」こと。3位以下になると価格競争に巻き込まれ、商品力よりも商品群力が必要不可欠になります。

また、競争の激しい飲料市場で勝ち抜くためには、「新しいカテゴリー」の創造も重要だと考えています。他社が競争力の高い分野で価格競争に巻き込まれるのを避け、高付加価値商品を開発することに注力することで、市場での優位性を確保しようとしています。『伊右衛門特茶』のような特定保健用食品（トクホ）は、その戦略の成功例と言えるでしょう。さらに、消費者の生活様式の変化も踏まえ、容器のイノベーションなどを通して市場の更なる成長を目指しています。

プライベート：大阪弁と吉本新喜劇への愛

仕事ではマーケティングのプロとして活躍する小郷氏ですが、プライベートでは関西人らしい一面も持ち合わせています。首都圏に住んでいても家庭では大阪弁を話し、休日にはお好み焼きやたこ焼きを作るなど、家庭的な一面も垣間見えます。また、お笑い好きとしても知られており、吉本新喜劇の座長「すっちー」を贔屓にしているそうです。健康法として、サントリーの製品を毎日欠かさず飲んでいるというエピソードも、ユーモラスでありながら、自社製品への自信を示しています。

まとめ

小郷三朗氏は、数々の成功と失敗を経験しながら、常に消費者の視点に立ち、市場の変化に対応し続ける実業家です。そのマーケティング戦略は、サントリー食品インターナショナルの成長に大きく貢献しており、今後も業界に大きな影響を与え続けることでしょう。彼の経験と哲学は、多くのビジネスパーソンにとって貴重な示唆に富むものです。

もう一度検索