小野剛 (野球)

野球選手から多角的な事業を手がける実業家へと転身した小野剛（おの ごう）は、1978年5月6日に大分県中津市で生まれました。その歩みは、プロ野球での苦闘と、引退後の多角的な事業展開、そして野球界への継続的な貢献によって彩られています。

選手としての軌跡

小野氏は小中学校時代、学業優秀で当初は勉学に重きを置いていましたが、やがて野球でも才能を発揮し、強豪校への道を拓きます。桐蔭学園高校では外野手に転向するもレギュラー定着はならず。武蔵大学では再び投手に戻り、首都大学野球2部リーグで通算37勝というリーグ記録を樹立し、注目を集めました。2001年、ドラフト7位で読売ジャイアンツに入団。プロの門を叩きました。

しかし、巨人では一軍登板を果たせないまま、わずか2年で戦力外となります。野球人生の岐路に立った小野氏を支えたのは、チームメイトだった工藤公康氏の言葉でした。この言葉に奮起し、現役続行を決意。2003年にはイタリア・セリエAのT&Aサンマリノでプレー。この期間に、巨人時代のコーチ宮田征典氏の助言を得て、サイドスローへの転向やシュートの習得など、投球スタイルの大胆な変更に取り組みました。

イタリアでの経験を経て、同年オフに西武ライオンズのテストに合格し、日本球界に復帰。2004年4月21日、西武ドームでの試合でNPB初登板を果たします。このシーズンは中継ぎとして11試合に登板しました。しかし、2006年には守備練習中にイップスを発症し、投球が困難な状態に陥ります。これが引き金となり、同年シーズン終了後に再び戦力外通告を受け、現役を引退しました。

第二の人生：実業家として、野球界へ

現役引退後、小野氏は新たな道を切り開きます。まず不動産企業で経験を積み、その後、プロ野球選手や音楽家のマネジメントを行う株式会社GSLを設立。実業家として本格的に歩み始めました。事業は拡大し、ホテルの買収や不動産会社の取得などを通じて多角化を進めます。経営の専門知識を深めるため、母校である武蔵大学大学院で金融を学び、修士課程を修了。現在では、飲食店、調剤薬局、不動産、商社など幅広い分野の事業を経営しており、その手腕から2017年には年商4億円規模と紹介されるほどになりました。

ビジネスでの成功に加え、小野氏は野球界への恩返しも欠かしません。プロ選手の資産運用サポートを行う一方、子供たちの指導者としても精力的に活動。自身が設立した「狭山西武ボーイズ」は、野球と学習、トレーニングを組み合わせた独自の指導法を展開し、創部3年目で全国大会準優勝という目覚ましい成果を上げています。指導には、西武時代の選手や、工藤公康氏も協力しています。また、引退した元プロ野球選手のセカンドキャリア支援にも力を入れ、自身の事業に元選手たちを迎え入れています。

地域リーグへの貢献もあり、2014年からはBCリーグの福島ホープスでゼネラルマネージャー（GM）を務めました。4シーズンにわたり球団運営に携わりましたが、2018年シーズン終了後の運営会社問題に際しては、岩村明憲氏と共に新体制への移行に尽力。しかし、新会社への引き継ぎ発表の翌日、GM退任が公表されるという形でその任を終えました。

現在も多方面で活躍しており、2018年時点では福島の食材を扱う飲食店を複数経営していると報じられています。また、2020年6月からは、かつて所属した読売ジャイアンツとOBスカウト契約を結び、埼玉エリアの有望選手のスカウティングに協力しています。

人物

小野剛氏の息子である小野勝利氏は、父親と同じ野球の道へ進み、現在はBCリーグの栃木ゴールデンブレーブスで内野手としてプレーしています。

プロ野球選手として厳しい現実に向き合いながらも、その経験を糧にビジネスの世界で成功を収め、さらに野球界への貢献を続ける小野剛氏。そのバイタリティと多才な活動は、多くの分野で注目を集めています。

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