小野塚彩那

小野塚 彩那（おのづか あやな）

1988年3月23日、雪深い新潟県南魚沼郡塩沢町（現在の南魚沼市塩沢地区）に生まれた小野塚彩那は、日本のフリースタイルスキー界で歴史を刻んだ元選手です。特にハーフパイプ種目において、国際舞台で輝かしい成績を残しました。

幼少期からアルペンスキー時代

地元の塩沢小学校、塩沢中学校を経て新潟県立湯沢高等学校、専修大学商学部を卒業しています。実家は南魚沼市で旅館「石打丸山 四季を楽しむ宿 勝田屋」を営んでおり、スキーに親しむ環境で育ちました。名前の「彩那」は、アルペンスキーヤーだった母親が長渕剛氏のファンであったことから、氏の娘の名にちなんで名付けられたといいます。

スキーの道を歩み始めたのは2歳から。スキージャンプの国体出場経験を持つ父親から指導を受け、基礎を身につけました。アルペンスキーヤーとして類稀なる才能を発揮し、小学校3年生時にはすでに新潟県大会で優勝。その後もジャイアントスラロームを中心に、宮様スキー大会や全日本学生スキー選手権大会など、数々の国内主要大会で優勝を重ねました。競技スキーのみならず、スキー技術選手権大会にも出場するなど、スキーヤーとしての幅広い能力を磨いていきました。

フリースタイルスキーへの転向と挑戦

アルペンスキーで実績を積んだ後、小野塚は新たな挑戦を決意します。2011年シーズンからフリースタイルスキー、特にハーフパイプ種目に本格的に転向。当時の新種目であったスキーハーフパイプで2014年のソチオリンピックを目指すことを宣言し、同シーズンからFISワールドカップシリーズへの参戦を開始しました。

国際舞台での活躍

フリースタイルスキー転向後、彼女は急速に頭角を現します。

2012-2013シーズン: ワールドカップで初の表彰台（3位、2位）を獲得するなど、世界のトップ選手たちと肩を並べるようになります。この勢いのまま臨んだ2013年フリースタイルスキー世界選手権では、予選をトップで通過し、決勝で80.4点をマークして3位に入賞。これは日本選手としてこの種目で初めてとなるメダル獲得という快挙でした。
2013-2014シーズン: ソチオリンピックを控えたワールドカップでも再び2位となるなど、安定した成績を残します。そして迎えた2014年2月20日、ソチオリンピックの女子ハーフパイプ競技に出場。予選を4位で通過すると、決勝では2本のランで高い完成度を披露し、83.20点で3位に入賞しました。スキーハーフパイプがオリンピック正式種目となって初めてのメダリストであり、日本人女性スキーヤーとしてはモーグルの里谷多英氏以来2人目となるオリンピックメダリスト誕生でした。この功績に対し、新潟日報スポーツ特別栄誉賞、新潟県民栄誉賞、南魚沼市市民スポーツ栄誉賞など、多くの栄誉が贈られました。
ソチ五輪後: オリンピックでのメダル獲得後も、小野塚の活躍は止まりませんでした。ワールドカップやエクストリームゲームズ（X-Games）、DEW TOURといった主要な国際大会で常に上位争いを展開します。2014-2015シーズンにはワールドカップで初優勝を飾り、最終的に種目別総合優勝を達成。翌シーズンも種目別総合連覇を果たすなど、世界のトップランカーとしての地位を確固たるものにしました。
2016-2017シーズン: 継続的に表彰台に上がる活躍を見せる中、2017年3月に行われたフリースタイルスキー世界選手権のハーフパイプ競技に出場。決勝で89.80点の高得点を叩き出し、見事優勝を飾りました。これは世界選手権において日本勢初の金メダル獲得であり、偶然にもこの日は彼女の祖父の命日だったという特別な勝利となりました。

現役引退

第一線で長年活躍を続けた小野塚彩那は、2019年1月24日に自身のブログで現役引退を表明しました。

アルペンスキーで培った確かな技術と、フリースタイルスキー転向後の果敢な挑戦が生んだ数々の栄光は、日本のフリースタイルスキー界に多大な影響を与えました。特に新種目でのオリンピックメダル獲得や世界選手権優勝は、後進の選手たちにとって大きな目標となっています。

主な国際大会での戦績:
2013年 フリースタイルスキー世界選手権 ハーフパイプ 3位
2014年 ソチオリンピック ハーフパイプ 3位
2015年 ワールドカップ種目別ハーフパイプ 総合優勝
2016年 ワールドカップ種目別ハーフパイプ 総合優勝
* 2017年 フリースタイルスキー世界選手権 ハーフパイプ 優勝

他にも、ワールドカップ、X-Games、DEW TOUR等で多数の表彰台を獲得しています。

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