少女 (フェルメールの絵画)

フェルメールの『少女』について

『少女』（しょうじょ、英: Portrait of a Young Woman）は、オランダ黄金時代を代表する画家ヨハネス・フェルメールによって1665年から1667年にかけて描かれた油彩作品です。この絵画は、ニューヨークのメトロポリタン美術館に収蔵されています。大条件からこの作品は、同じ画家による『真珠の耳飾の少女』としばしば比較され、二者は互いに関連性があると考えられています。

『少女』は、少女が真珠の耳飾をつけ、肩にスカーフをまとい、漆黒の背景に浮かび上がる姿が描かれています。両作品ともに、カメラ・オブスクラという光学装置を使用して制作されたとされており、画家の技巧が光る特徴があります。

描かれている少女の顔は、丸みを帯びた幅広い形をしており、小さな鼻と薄い唇が印象的です。この作品における少女の微笑みは素朴で、理想的な美の表現からは遠ざかっています。このことから、注文主からの依頼によって描かれたものであり、モデルはフェルメールの娘である可能性が示唆されています。フェルメールは実在のモデルを用いることが多い画家ですが、『少女』においては肖像画というよりは、17世紀オランダ絵画に見られる「トロニエ」と呼ばれる技法によって描かれ、目を引く衣服や表情、そして画家の技術を示す重要な作品となっています。

さらに、『少女』と『真珠の耳飾の少女』には意味を持つ背景が描かれておらず、その純粋な姿が強調されています。この単色の背景は少女の脆さを際立たせ、同時に画家に対する信頼感を示唆する効果を生み出しています。1994年に美術史家エドワード・スノウは、『少女』について「完璧な美ではなく、欠点を含めて愛情深く描かれた作品」と評しています。

来歴

『少女』は1674年まで、フェルメールの重要なパトロンであったピーテル・クラースゾーン・ファン・ライフェンに所有されていました。その後、彼の未亡人が所蔵し、推定1681年まで所有されていました。ファン・ライフェンの死後は、家族を通じて所有権が移転し、1696年にはディシウスの遺産競売に出されました。その後、ルヒトマンスのもとに渡り、1816年の競売で非常に少ない価格で落札されました。

1829年には貴族であるアーレンベルク公家に引き取られ、その後1950年代初めまで世襲されました。1959年にはニューヨークの美術収集家チャールズ・ライツマンと妻ジェイン・ライツマンによって約400,000ドルで購入され、1979年にはメトロポリタン美術館に寄贈されました。この作品は多くのフェルメール作品と同様に、情報や思索を損なわずに観賞者に深い感情をもたらす力を持っていると言えるでしょう。

参考文献

• - Bonafoux, Pascal (1992). Vermeer. New York: Konecky & Konecky. ISBN 1-56852-308-4
• - Liedtke, Walter (2001). A View of Delft: Vermeer and his Contemporaries. Yale University Press. ISBN 0-300-09053-6
• - Liedtke, Walter, Plomp, Michiel C., & Rüger, Axel (2001). Vermeer and the Delft School. Yale University Press. ISBN 0-87099-973-7
• - Snow, Edward (1994). A study of Vermeer. University of California Press. ISBN 0-520-07132-8
• - Wheelock, Arthur K. (1997). Vermeer: The Complete Works. New York: Harry N. Abrams. ISBN 0-8109-2751-9

このように、フェルメールの『少女』は、その美しさだけでなく、深い歴史を持つ作品として、今もなお多くの人々に感動を与えています。

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