少女不十分

少女不十分

『少女不十分』は、西尾維新による小説作品であり、講談社ノベルスより刊行されています。イラストは碧風羽が担当しています。

概要

物語は、20歳の大学生である「僕」が、ある日出会った「少女」（U）との交流を中心に展開されます。しかし、物語の語り手は10年後の30歳になった「僕」であり、過去の出来事を回想する形で語られます。キャッチコピーとして「西尾維新、原点回帰にして新境地の最新作。」や「この本を書くのに10年かかった。」といった言葉が用いられ、作者の意気込みが感じられます。

あらすじ

物語の始まりは、主人公である「僕」が通学路を歩いている場面です。前方を歩く二人の少女に追いついた「僕」は、そのうちの一人がトラックに轢かれるという衝撃的な事故を目撃します。しかし、事故を目の当たりにしたもう一人の少女（U）は、友人の死にも関わらず無反応でゲームをセーブし、その後で泣き叫ぶという奇妙な行動をとります。その異様な態度を目撃した「僕」は、その場を立ち去りますが、実は少女に見つめられていたことに気づきませんでした。

主な登場人物

「僕」

この物語の主人公であり、小説家の男性です。30歳になった現在から、10年前の大学生時代を振り返る形で物語が語られます。10年前、大学生だった「僕」は、通学中に目の前で起きた交通事故をきっかけに少女「U」と出会います。当時、ロードレーサーで通学していた彼は、前を歩く2人組の少女を追い抜こうとした際、1人の少女がトラックに轢かれて死亡する瞬間を目撃します。そのショックから大学を1週間休んだ後、再び通学路を自転車で通ると、「U」にリコーダーを自転車の後輪に投げ込まれ、転倒して意識を失います。意識が回復するまでの間に学生証を盗まれ、その後「U」にカッターナイフで脅迫され、彼女の家の物置に監禁されるという非日常的な体験をします。数日後、警察によって救出され、「U」との監禁生活は終わりを迎えますが、数年後、「U」と再会した際にはお互い「はじめまして」と挨拶を交わすという、奇妙な関係を続けています。

U

当時小学4年生だった少女で、物語のキーパーソンです。同級生が交通事故で亡くなった現場で、奇妙な行動をとったところを「僕」に目撃されます。その後、「僕」を脅迫して自宅の物置に監禁するという常軌を逸した行動に出ます。彼女の行動は、両親から厳しくしつけられ、生活のルールを記したノートを忠実に守っていたことが原因でした。そのノートには、交通事故に遭遇した際の対応が詳細に書かれており、彼女はそれを実行したにすぎませんでした。両親は家の中で死亡しており、Uは冷蔵庫に残っていた食料と学校の給食で生活していましたが、その後近所の人の通報により保護されます。数年後、「僕」と再会することになります。

刊行情報

2011年9月6日 ISBN 978-4-06-182800-1

コミカライズ

はっとりみつる作画で、『週刊ヤングマガジン』（講談社）にて、2015年53号から2016年39号まで連載されました。

書籍情報

はっとりみつる 『少女不十分』 講談社〈少女不十分〉、全3巻

2016年5月6日発売 ISBN 978-4-06-382783-5
2016年8月5日発売 ISBN 978-4-06-382832-0
2016年10月6日発売 ISBN 978-4-06-382860-3

外部リンク

* 『少女不十分』西尾維新｜講談社ノベルス

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