少女椿

作品概要

『少女椿』（しょうじょつばき）は、丸尾末広により描かれた日本の漫画作品で、後にアニメ映画にもなりました。まず、1981年に発表された読み切り作品『哀切秘話 少女椿』を茅山とした短編集『薔薇色ノ怪物』に収録され、その後、1983年から1984年の間、全8話が『漫画エロス』で連載されました。本作は、女子高生を含む多くの読者に支持される一方で、オルタナティヴ・コミックの中でも特に高い評価を受けています。これまで大手出版社からは単行本化や文庫化はされておらず、現在のところ、青林工藝舎が改訂した単行本が唯一の入手可能な版となっています。

物語の背景

本作は、浪花清雲による街頭紙芝居『少女椿』に基づいています。この原作では、「貧しい家に生まれた少女が両親と再会し、幸せに暮らす」という筋書きが展開されますが、漫画版では作者独自のエログロ・怪奇性が強調され、結末も暗く、後味の悪いものであるのが特徴です。

あらすじ

物語は、昭和13年、貧しい家庭に生まれた少女みどりが主人公です。彼女は病気の母親と二人三脚で生計を立てていましたが、母親の死によって孤児となります。孤独なみどりは、出会った山高帽をかぶった親切なおじさんを頼りにしますが、彼は異形の芸人たちが集まる見世物小屋の主人でした。

『赤猫座』という小屋でみどりは下働きとして扱われ、里親である芸人たちからのいじめに苦しむ日々が始まります。ところが、そうした異常な環境の中で、小人症のワンダー正光が現れ、彼との関係がみどりの運命を大きく変えていくことになります。正光はみどりに優しさを示し、彼女の立場を向上させていくのです。

しかし、平穏な日々は長くは続かず、見世物小屋の座長が逃げ、みどりは正光と共に旅立つことになります。仲間たちに祝福されながら旅の準備を進める矢先、正光が盗賊に襲われ、命を落とします。みどりは正光を探し回るものの、彼を見つけ出すことができず、神社の境内で彼の幻影を見ることになります。みどりはその幻が消え去る瞬間に衝撃を受け、物語は悲劇的に締めくくられます。

登場人物

• - みどり：花売りをする少女で、母の死後孤児となり、見世物小屋に引き取られる。
• - ワンダー正光：優しさを示し、みどりを支える芸人。実は小人症で、彼女への独占欲を抱く。
• - 嵐鯉治郎：見世物小屋の親方であり、無責任な面があるが、根は悪人ではない。
• - 蛇女紅悦：見世物小屋のまとめ役で、新入りの威圧感があるが、最終的にはみどりの幸せを願う。

メディア展開

本作は、1984年に単行本化され、その後、アニメ映画としても実現しました。映画については、製作が難航しながらも、独立プロダクションで制作され、1992年に公開されました。その後の上映禁止や再発見を経て、現代でも新たな形で多くの人々に視聴されています。さらに、舞台化や実写映画化もされるなど、『少女椿』はその独特な世界観を持ち続け、多くのファンに愛されています。

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