少数株主権

少数株主権について

少数株主権（しょうすうかぶぬしけん）は、株式会社における株主の権利の一つであり、特定の条件を満たす株主が持つ権利を指します。この権利は、一定の割合や数量の株式を保有することが求められ、主に株主総会などで行使されます。特に、株主が1株のみを保有している場合にも権利を行使できる単独株主権とは異なり、ある程度の株式を保有することが必要です。

「少数」という表現は、経営権を単独で握ることが難しいという意味合いがあり、一般的には、大株主が経営陣に対して異議を唱える時にこの権利が利用されます。少数株主権を持つ株主は一般的に少数株主と呼ばれ、時には少数派株主としても知られています。

日本法の下での少数株主権

日本の会社法では、少数株主権に関するいくつかの重要な条文が規定されています。これにより、株主が経営に対する監視機能を確保するための権利が保障されています。主な権利には以下のようなものがあります。

1. 検査役選任請求権（第306条）
- 株主が議決権の1/100以上を6ヶ月以上保有している場合、株主総会の招集手続き等に関して検査役の選任を請求できます。

2. 議題提案権（第303条2項および第305条）
- 同様に、議決権の1/100以上または300個以上の議決権を保有することで、議題の提案や議案通知を行うことができます。

3. 業務執行に関する検査役の選任請求（第358条）
- 株主が議決権または発行済株式の3/100以上を保有する場合、業務執行に関連する検査役の選任を請求することができ、これにより会社の業務運営を監視することが可能です。

4. 会計帳簿閲覧請求権（第433条）
- 株主は議決権または発行済株式の3/100以上を保有することで、会社の会計帳簿の閲覧を要求できます。この権利は株主が会社の財務状況を把握するために重要です。

5. 株主総会招集請求権（第297条）
- 議決権の3/100以上を保有する株主は、株主総会の招集を請求することができ、これにより自らの意見を表明する機会を持つことができます。

6. 役員解任の訴えの提起（第854条）
- 株主が議決権の3/100以上を有する場合、役員を解任する訴えを起こすことができ、不当な行為に対して株主が行動を起こせる手続きを保障します。

7. 会社解散の訴えの提起（第833条）
- 議決権または発行済株式の10/100以上を有する株主は、会社の解散を求める訴えを起こすことができます。

8. 簡易合併対する反対権（第796条4項）
- 定足数ぎりぎりの状況で特別決議を否決できる一定以上の議決権を保有する株主には、簡易合併等に対して反対権を行使することができます。

まとめ

少数株主権は、株式会社の経営に対する株主の権利を保障する重要な制度の一部です。特に大株主との対立が存在する場合、少数株主はこの権利を利用することで、自らを守り、会社の透明性や公正性を確保する役割を果たします。このように、少数株主権は株式会社における民主的な運営を支える要素の一つであり、株主平等の原則とも密接に関わっています。

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