就業意欲喪失者

就業意欲喪失者について

就業意欲喪失者（Discouraged worker）とは、求職希望がありつつも、長期にわたる失業によって求職活動を行う意欲を失った人々を指します。このような人たちは、しばしば「求職意欲喪失者」とも呼ばれ、統計上は非労働力人口の一部と見なされるものの、実際には潜在的な失業者と考えられています。

就業意欲喪失者の特性

就業意欲喪失者は、一般的に景気の低迷が続いた結果、失業が長期化することで「失業者」から「非労働力人口」へと移行した存在です。しかし、景気が回復すると、彼らは再び求職活動を開始する可能性があるため、労働力人口に復帰する流動的な性質を持ちます。こうした現象は、就業意欲喪失が及ぼす影響として「就業意欲喪失効果」と呼ばれ、主に不況時に失業率を抑制する要因となります。また、逆に好景気時には失業率の低下を妨げることがあるため、これを「就業意欲効果」として分類することもあります。

アメリカにおける定義

アメリカでは、労働省労働統計局（BLS）が就業意欲喪失者を次のように定義しています。非労働力人口（NILF）の一部である「Marginally attached to the labor force」と呼ばれるカテゴリに属する者の中で、過去12か月以内に求職活動を行ったにもかかわらず、4週間以上仕事探しをしていない人々です。特に、自身の職が存在しない、または自分に適した仕事がないと感じているため、現在は求職を行っていない者が該当します。このような人たちは、自己能力に対する不信感が影響しており、求職活動を諦める傾向にあります。

欧州連合における分類

欧州連合の統計機関Eurostatでは、就業意欲喪失者を不完全雇用のパートタイム労働者、すぐには仕事に就けない失業者、就業可能なのに求職活動を行っていない者の3つのカテゴリに分けています。例えば、2012年の調査では、不完全雇用のパートタイム労働者が920万人、就業活動を行っているが早急には採用されない失業者が230万人、そして就業可能だが求人活動をしない者は890万人に達していました。これらの数値からも、国による就業意欲喪失者の実態を把握することが可能です。

日本における状況

日本の厚生労働省では、就業意欲喪失者を「非労働力人口で就業希望者のうち、求人が見込めないために仕事を探していない人」として定義しています。これは、完全失業者と区別されており、日本の完全失業率にはカウントされない点が特徴です。また、日本において主に挙げられる求職をしない理由として、希望する労働条件が存在しないことが多く、これが「雇用のミスマッチ」として問題視されています。さらに、リーマンショック以降の経済環境の変化により、特に30代後半の「団塊ジュニア」世代に対して求人が厳しく、就業意欲の喪失を引き起こす要因となっています。

まとめ

就業意欲喪失者は、経済状況に応じた柔軟な存在で、景気により再び労働力人口に復帰する可能性を秘めています。しかし、彼らの存在は、失業率や労働力率に影響を与えることから、経済政策においても注視される必要がある重要な要素です。

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