就職戦線異状なし

映画『就職戦線異状なし』の概要

『就職戦線異状なし』は、1991年に公開された日本の映画で、その原作は杉元伶一の同名の長編小説です。この作品は、金子修介監督によって映像化され、織田裕二が主演を務めました。その他にも的場浩司や仙道敦子が重要な役を演じ、エフテレビの人事担当を和久井映見が演じています。

映画は、新卒採用の売り手市場という当時の日本の就職活動を背景にしていますが、公開当時はすでにバブル経済が崩壊した後であり、作品が描く状況とは大きなギャップが存在していました。また、作品のタイトルは、ドイツの作家エーリヒ・マリア・レマルクによる『西部戦線異状なし』からインスパイアを受けたものです。

ストーリーのあらすじ

作品は、空前の売り手市場と称された時期に就職活動に奮闘する若者たちの姿を描いています。早稲田大学社会科学部に在籍する大原（織田裕二）は、大手マスコミ企業に就職したいと夢見る友人の立川（的場浩司）に刺激を受け、マスコミ関連の就職活動を始めることになります。一方で、大原を想う友人の毬子（仙道敦子）は、大原の様子を追いながら就職活動本を執筆しようと試みます。

物語が進むにつれて、内定の話がちらほら出始めるものの、大原と立川は依然として内定を得られずにもがいています。ある晩、友人の北町（坂上忍）から六本木の高級ディスコへ誘われ、そこで派手に遊ぶものの、その夜の出来事が後に波紋を呼ぶことになります。

8月からは本格的な就職戦線が始まり、大原と立川は運命をかけた面接を迎えます。特にエフテレビの面接では、以前喧嘩になった中年男が面接官として待っており、大原はまずい状況に立たされますが、なぜか面接は順調に進みます。この背後には雨宮（本田博太郎）の陰謀が絡んでいることが明らかになります。

大原はさまざまな困難を乗り越え、徐々に最終面接までたどり着きますが、その一方で友人たちの運命も刻々と変わっていきます。北町は父の急死により帰郷し、立川はマスコミ業界を諦めて外食チェーンに入社することになります。こうした出来事を通じて、大原は「本当の就職とは何なのか」を深く考えさせられることになります。

音楽と評価

この映画の主題歌にはほぼ無名だった槇原敬之の「どんなときも。」が使われており、公開当初から非常に多くの人に感銘を与えました。映画のキャッチコピーは、「なりたいものじゃなくて、なれるものを捜し始めたら　もうオトナなんだよ…」というもので、視聴者に強いメッセージを伝えます。

織田裕二自身もこの作品を非常に高く評価しており、彼は後のインタビューで「大好きな作品」の一つと語っています。また、撮影の背後には多くの協力者がおり、早稲田大学や広告代理店といった現実の組織がその舞台設定を補完しています。

まとめ

『就職戦線異状なし』は、当時の新卒生が直面した厳しい現実やその葛藤、そして成長を描いた作品です。新卒採用のグローバルな影響を反映し、視聴者に多くのことを考えさせる映画として、今なお印象に残る作品です。

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