尼僧物語

映画『尼僧物語』の概要

『尼僧物語』（原題: The Nun's Story）は、1959年に公開されたアメリカ映画で、フレッド・ジンネマンが監督を務め、オードリー・ヘプバーンが主演しています。この映画は、キャスリン・ヒュウムの小説を元にしており、実在の人物、マリー＝ルイーズ・アベの波乱に満ちた半生を描いています。物語は、若き女性が尼僧としての道を選ぶも、その信仰と現実との葛藤によって還俗するまでの17年間を追います。

あらすじ

物語は、ベルギーの名医バン・デル・マル博士の娘、ガブリエルが尼僧になるという大きな決断をするところから始まります。彼女は俗世間を離れ、修道院での厳しい生活に突入します。ガブリエルは、修道女としての戒律を厳守しつつ、心の中に秘めた葛藤を持ち続けます。彼女は見習い尼として修行し、シスター・ルークと名乗ることになります。

修道院内で、彼女は医学の訓練を受けながら、ベルギー領コンゴへの派遣を目指します。最初は精神病院に振り分けられるも、やがて念願のコンゴ行きが決まります。そこで彼女は、外科医フォルテュナティの助手として働くことになり、理解を深めながらも彼の世俗的な視点に苦しむことになります。

愛と痛み

ガブリエルは、フォルテュナティと深い信頼関係を築くものの、結核を患い、彼から「君は尼僧にはなれない」と指摘されることになります。この言葉が胸に響く中、彼女の心は次第に不安定になっていきます。父の死と戦争の影響が重なり、彼女は自らの信仰と忠誠心に疑念を抱くようになります。

鹿の子

戦争が激化する中、シスター・ルークは地下運動への参加を思い悩むが、教義との葛藤が彼女を苦しめます。父の死の知らせを受け、敵に対する憎しみを抱く彼女は、ついに修道院を離れる決意をします。彼女は全てをマザー・エマニュエルに告白し、還俗を申し出るのです。

作品の背景と制作

この作品は、カトリック教会との調整が必要だったため、製作過程は複雑でした。教会が不快に思う内容があると危惧され、慎重な取り組みが求められました。やがてオードリー・ヘプバーンが主演することが決まり、映画の方向性が定まります。

ヘプバーンは、役作りのために実在の尼僧や医者から学び、現実に即した演技を追求しました。撮影は、ローマやコンゴなど多くのロケ地で行われ、実生活の儀式や修道院の雰囲気をリアルに表現しました。

音楽と公開

音楽はフランツ・ワックスマンが担当しましたが、監督の考えにより、重要な場面では音楽を使わないという選択がなされました。映画は試写会で高評価を受け、ニューヨークでのプレミアでは想像以上の集客を得ました。

結論

『尼僧物語』は、信仰、愛、そして避けがたい葛藤を描いた作品であり、オードリー・ヘプバーンの演技が多くの人々に感動を与えました。映画はアカデミー賞に8部門ノミネートされ、その存在感は時代を超えて評価され続けています。

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