尾上卯多五郎

尾上卯多五郎

尾上卯多五郎（1875年1月1日 - 1934年12月11日）は、日本の著名な俳優であり、かつては歌舞伎役者としても知られています。本名は山田卯吉といい、旧芸名は卯島五郎です。彼は歌舞伎の世界から映画界へ転向し、俳優として多くの作品に出演しました。特に、日活京都撮影所に所属し、還暦近くまで精力的に活動を続けました。

人物・来歴

尾上卯多五郎は1875年に大阪市で誕生し、旧制尋常小学校を卒業した後に、二代目尾上卯三郎のもとで歌舞伎の修業を始めました。彼の初舞台は大阪の朝日座で行われ、当時より注目を集めました。1916年には映画『忍術三勇士』に出演し、映画界に足を踏み入れることとなります。

1919年、満44歳という年齢で日活京都撮影所に入社し、映画俳優としてのキャリアを本格化させました。ここでは、尾上松之助主演の作品において、数多くの脇役を演じることになります。彼は特に老け役が多く、その印象から日本の映画界で重要な役割を果たしました。

映画キャリア

彼の代表的な作品には、1924年公開の『鬼作左衛門の娘』、『怪力八郎』、および『フラフラ豪傑』などがあり、これらでは主演も務めました。また彼は、映画『荒木又右衛門』にも出演し、渡辺靭負の役を演じ、尾上松之助のファンに強い印象を残しました。1926年には尾上松之助が逝去した後も、日活京都撮影所での活動を続け、映画業界における存在感を示し続けました。

1930年代に入ると、彼は片岡千恵蔵プロダクションの作品に頻繁に出演し、特に1933年の『楠正成』では初のトーキー映画に出演しました。しかしながら、彼に関する情報は次第に少なくなり、1934年に彼が亡くなるまでの詳細な活動記録は残っていません。

最期と遺産

1934年12月、彼は心臓病により自宅で静かに息を引き取りました。享年59歳であり、日本映画界における彼の功績は、今なお映画人たちによって語り継がれています。彼の業績は、映画史における貴重な一ページとして、多くの後進に影響を与え続けています。彼の活動は、当時の日本映画界の流れを変える一助となったと考えられています。

参考文献

彼に関する詳細な情報は、『日本映画俳優全集・男優編』などの文献で確認することができ、彼にまつわる多くの資料が残されています。また、彼の映画作品は東京国立近代美術館フィルムセンターなどで鑑賞できる状況もあります。

尾上卯多五郎の充実したキャリアは、映画史に名を刻んでいます。彼の成し遂げた芸術作品や演技は、過去の時代を背景に、今もなお多くの映画ファンの心に残っています。

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