尾張三条駅

概要

尾張三条駅（おわりさんじょうえき）は、愛知県中島郡起町、現在の愛知県一宮市三条に位置していた、名古屋鉄道（名鉄）が運営していた軌道線（路面電車）である起線の電車停留所でした。現在は廃駅となっています。

駅構造と検車区

当駅は、相対式ホームを2面備え、線路が2本配置されていました。これにより、列車の行き違いが可能な構造となっており、起線内における輸送上の要衝でした。駅に隣接して「三条検車区」が設置されており、この検車区が、他の鉄道路線から孤立していた起線で使用される車両の保守・点検を一手に担っていました。路線の運営を支える重要な施設であり、起線が廃止されるその時まで使用されました。検車区には、単行運転を行う小型車両が7両ほど所属していたと伝えられています。

歴史

起線のもととなる軌道建設計画は、1922年（大正11年）3月25日に設立された蘇東電気軌道によって具体的に進められました。その後、蘇東電気軌道は1923年（大正12年）11月1日に名古屋鉄道へ吸収合併されます。そして、合併から間もない1924年（大正13年）2月1日、起・一宮（後に八幡町と改称）間の軌道線が蘇東線として開業し、これと同時に尾張三条駅も開設されました。

路線の名称は、1948年（昭和23年）5月16日に蘇東線から起線へと変更されます。時代が進み、1952年（昭和27年）12月24日には、接続していた名鉄尾西線が架線電圧を1500Vに昇圧したことに伴い、起線車両の新一宮駅（現・名鉄一宮駅）への直接乗り入れが廃止されることになりました。

翌年の1953年（昭和28年）6月1日、起線は予想を上回る乗客増加に対応するため、電車の運行を取りやめ、バスによる代替輸送に切り替えるという判断がなされました。これに伴い、尾張三条駅も営業を休止するに至ります。そして、バス代行輸送開始から約1年後の1954年（昭和29年）6月1日、起線が正式に廃止され、尾張三条駅もその歴史に幕を下ろしました。

現在の状況

尾張三条駅の跡地は、現在の名鉄バス尾張三条バス停の周辺にあたるとされています。かつての三条検車区跡地については、一時期名鉄バスの転回場として活用されていましたが、現在ではその場所に商業施設（西松屋）が建設されています。

特筆すべき点として、現在の名鉄バス尾張三条バス停の待合所には、起線で実際に使用されていたと推測される、アメリカ製のレールが構造材の一部として再利用されており、廃線となった路線の存在を今に伝えています。

隣接駅

起線の廃止直前における当駅の隣接駅は以下の通りです。

篭屋駅 - 尾張三条駅 - 西三条駅

関連項目

廃駅

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