尾西鉄道三等客車

尾西鉄道三等客車

尾西鉄道三等客車（びさいてつどう　さんとうきゃくしゃ）は、尾西鉄道によって新たに製造された、木造の二軸三等客車です。この客車は、尾西鉄道の開業に伴って日本車輌製造と月島工場で生産され、耐久性を重視した木製の車体を有しています。

概要

最初に製造されたこの三等客車は、当初は下等客車と呼ばれていましたが、その後三等客車に改名されました。1897年（明治30年）には8両の車両が新たに製造され、それ以降も1897年（明治32年）以降に追加の車両が生産されました。これらの車両は、干支にちなんだ形式名（子・寅・辛・牛・丁・壬・辰）が付けられていますが、具体的な詳細は記録に残っていません。

尾西鉄道では、この三等客車に特有の記号を付けることで識別しており、「は」を冠した形式番号（例：は1 - は6、は10 - は16）が設けられています。合計で14両が製造されたとされていますが、そのうちのいくつかは用途に応じて改造が施されました。具体的には、は13およびは14は二等三等合造車に改造され、ろは13およびろは14へと名称が変更されました。また、は2・は10・は11・は15・は16の車両には制動機が取り付けられ、はへ2・はへ10・はへ11・はへ15・はへ16と名前が改められました。

1925年（大正14年）、旧名古屋鉄道が尾西鉄道を取得した際、12両の車両が名古屋鉄道に移動しましたが、残念ながらその年内に全車が廃車となりました。

主要諸元

この客車の性能については、博物館明治村に所蔵されている図面によるデータが存在します。以下に主な数値を示します。

• - 全長：26ft7in（約8,100mm）
• - 全幅：8ft3in（約2,500mm）
• - 全高：11ft9in（約3,600mm）
• - 自重：5.0t
• - 乗員定員：65人

これらの数値は、早期の鉄道における木造客車の特性を示しており、その形状やサイズは、当時の運輸事情を反映したものです。

参考文献

• - 保存版尾西線の100年（郷土出版社　1999年発行）
• - 尾西鉄道-濃尾平野を走る-（尾西市歴史民俗資料館　1995年5月27日発行）

このように尾西鉄道三等客車は、地域の交通手段としての重要な役割を担いながら、短い運命を辿った史料ともいえる存在でした。

もう一度検索