展開環境

展開環境（デプロイメント環境）とは

展開環境（デプロイメント環境）とは、ソフトウェア開発において、開発されたプログラムやソフトウェアコンポーネントが実際に展開され、実行されるコンピュータシステムや環境のことを指します。ソフトウェアのライフサイクルにおいて、開発から本番運用までを円滑に進めるために、複数の環境を使い分けることが一般的です。

展開環境の種類

展開環境は、その目的や役割に応じていくつかの種類に分けられます。主なものを以下に示します。

開発環境 (DEV)

• - ソフトウェア開発者がコードの作成、編集、デバッグを行うための環境です。
• - 通常、開発者の個々のワークステーションが利用されます。
• - 開発に必要なコンパイラ、IDE、ライブラリなどのツールが導入されています。
• - バージョン管理システムと連携し、チームでの開発を円滑に行うための基盤となります。
• - ローカル環境、サンドボックスと呼ばれることもあります。

テスト環境 (TEST)

• - 開発されたコードが、意図した通りに動作するかを検証するための環境です。
• - テスターが、自動テストや手動テストを実行します。
• - バグを発見し、開発者にフィードバックを送ることで、品質向上を図ります。
• - 様々なテスト手法に対応するため、複数のテスト環境が存在することもあります。
• - パフォーマンステストや可用性テストなど、目的に応じた環境構築が必要です。

ステージング環境 (MODL / STAGE)

• - 本番環境へのリリース前に、最終確認を行うための環境です。
• - 本番環境と可能な限り同じ構成で構築されます。
• - インストール、設定、移行スクリプトの手順をテストし、本番環境での問題を未然に防ぎます。
• - パフォーマンステストや負荷テストもこの環境で実施します。

本番環境 (PROD)

• - 実際にエンドユーザーが利用する環境です。
• - サービスを安定して提供することが最重要です。
• - 新しいコードや変更をデプロイする際には、細心の注意が必要です。
• - リリースには、段階的なロールアウトやカナリアリリースなどの手法が用いられます。

その他の環境

• - 品質管理 (QC) 環境：検収テストを行うための環境。
• - サンドボックス/実験 (EXP) 環境：実験的な機能や技術を試すための環境。
• - ディザスタリカバリ環境：本番環境で障害が発生した場合の復旧に使用する環境。

環境間の関係

一般的に、開発環境で開発されたコードは、テスト環境で検証され、ステージング環境で最終確認を行った後、本番環境にリリースされます。この流れは、ソフトウェアの品質を確保し、安定したサービス提供を実現するために不可欠です。 環境は、開発 (DEV) から本番 (PROD) へと段階的に進行することが多く、開発環境での変更が、テスト環境、ステージング環境を経て本番環境へリリースされます。また、問題発生時にはロールバックが行えるような仕組みも重要です。

展開アーキテクチャ

展開環境の構成は、ソフトウェアの種類や開発規模によって異なります。一般的なアーキテクチャとしては、以下のものがあります。

• - 4層アーキテクチャ: 開発環境 (DEV) → テスト環境 (TEST) → モデル環境 (MODL) → 本番環境 (PROD)
• - DTAP アーキテクチャ: 開発環境 (D) → テスト環境 (T) → 検収環境 (A) → 本稼働環境 (P)

環境の規模

環境の規模は、開発環境が開発者のワークステーションであるのに対し、本番環境はデータセンターやクラウド上の大規模なネットワークとなるなど、大きく異なります。

展開方法

本番環境への展開は、コードの直接展開、構成変更、新しいバージョンの並行インストールなど、様々な方法で行われます。リリース時には、システムのダウンタイムを最小限に抑えるための工夫が必要です。また、ロールバックしやすい構成にしておくことも重要です。

フレームワークとの統合

ASP.NET Core などのフレームワークでは、環境変数を活用して、環境に応じた設定を切り替えることが可能です。

まとめ

展開環境は、ソフトウェア開発のライフサイクルにおいて重要な役割を担っています。適切な環境構成と運用を行うことで、開発効率の向上、品質の確保、安定したサービス提供を実現することができます。

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