属啓成

属啓成（さっか けいせい）は、1902年10月17日に朝鮮で生まれ、1994年10月12日に没した日本の音楽学者、音楽評論家です。本名は朴啓成（パク・ケソン）といい、後に日本人のピアニスト属澄江と結婚した際に、属姓を名乗るようになりました。

属啓成は、西洋音楽、特に形式分析の分野において重要な貢献をしました。彼の著書である「音楽形式の基礎」は、音楽分析の入門書として広く知られています。これは、彼がウィーン留学中に触れたシュテールの「音楽形式学」に影響を受けたものです。留学から帰国後、彼は母校である国立音楽大学で教鞭を執り、後進の指導にもあたりました。

また、属啓成は単なる形式分析にとどまらず、作曲家の生涯を詳細に描いた伝記も多く執筆しました。これらの著書は、作曲家の人間像を深く理解する上で、重要な資料となっています。さらに、読売新聞に演奏会評を寄稿するなど、音楽評論家としても活動しました。その評論は、音楽に対する深い理解と洞察に満ちていました。

属啓成の功績は、日本国内にとどまらず、海外からも高く評価されました。彼は「音楽歴史図鑑」で文部大臣奨励賞を受賞したほか、オーストリア政府から有功一等勲章、チェコ政府から有功金章を授与されました。

音楽活動以外にも、属啓成は社会貢献活動にも熱心でした。カトリック成城教会の鐘楼に設置された鐘は、彼が西ドイツの工房に特注して寄贈したものです。現在も日曜日のミサの開始を告げるために使用されています。

属啓成の家族構成は、義父に三井鉱山取締役の属最吉、妻にピアニストで国立音楽大学教授の属澄江、義兄に宇部興産副社長の俵田寛夫がいます。長男の英郎は日本石油化学に勤務し、長女の成子は日本電気勤務の大塚敬一と結婚しました。

属啓成は200冊以上の著書を出版しており、その内容はクラシック音楽の伝記、音楽理論、子供向けの音楽教育書など多岐に渡ります。代表的な著作には「ベートーベン全集」、「シューベルトの生涯と芸術」、「バッハの生涯と芸術」、「作曲技法」、「名曲の事典」などがあります。これらの著書は、国立図書館で閲覧することができます。

属啓成は、音楽の研究、教育、評論、社会貢献など、多方面で活躍した人物でした。彼の業績は、日本の音楽文化の発展に大きく貢献しました。

彼の墓は多磨霊園にあります。

属家の略系図

義父：属最吉（三井鉱山取締役）
妻：属澄江（ピアニスト、国立音楽大学教授）
長男：属英郎（慶應義塾大学経済学部卒、日本石油化学勤務）
長女：属成子（聖心女学院高等部卒、大塚敬一（日本電気勤務）の妻）

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