山上八郎

山上 八郎について

山上八郎（やまがみ はちろう、1902年2月5日 - 1980年4月15日）は、日本の軍事史学者であり、特に甲冑の研究において大きな業績を残した人物です。彼の研究は、日本の伝統文化や歴史の理解を深めるために重要な役割を果たしました。

生い立ちと教育

山上は1902年に東京にて生まれ、幼少期からその家系に影響を受け成長しました。彼は養祖父である山上兼輔に強い影響を受け、日本の軍事史、特に甲冑や武装に対する興味を抱くようになりました。1909年に高千穂小学校に入学し、1914年には明治中学校に進学、そこでさらなる知識を深めていきます。

1919年に明治中学校を卒業後、彼は早稲田大学高等予科政治科に入学します。在学中には日本各地の寺社や旧家を訪れ、甲冑の調査や収集に取り組みました。この頃の経験が後の著作に大きく寄与することになります。

研究と著作

山上は1920年に『新撰鎧色一覧』を出版し、1928年には代表作の一つである『日本甲冑の新研究』を発表します。この作品は上下巻で約2500ページにも及ぶもので、日本各地の甲冑についての詳細な分析が含まれています。この著作は、日本の甲冑研究において未だに重要視され、彼は帝国学士院の桂公爵記念賞を最年少で受賞しました。

1933年に会社を退職し、研究生活に専念した彼は、1962年に東洋大学から文学博士号を取得しました。以降も精力的な研究を続け、また多くの著作を発表しました。特に、彼の著書は甲冑研究の分野において大きな評価を受けており、今なお多くの人々に影響を与えています。

人物と私生活

山上八郎は、旅を通じて甲冑を収集し、その一生を通じて「万巻の書を読み千里の道を行く」を目標に掲げました。彼は普段の行動からも独自の個性が光っており、そのために周囲との摩擦もあったようです。特に、同時代の研究者である河鰭実英や鳥羽正雄との親しい関係がありながら、逆に考古学者の末永雅雄や史学者の江馬務とは良好な関係を築いていませんでした。

彼の性格を知る甲冑師の証言によると、山上は独特の癖を持ち旅先ではしばしば奇行を行っていたとされています。彼のユニークな人柄は、研究を進める中で多くの人々に記憶され、また彼自身が大いに楽しんでいたことが伺えます。

死去と評価

山上八郎は1980年に旅先の福岡県小倉で亡くなりました。享年78歳。この偉大な研究者が残した業績は、現代の甲冑研究においても引き続き重要な役割を果たし続けています。彼の埋葬は青山霊園に行われ、その業績は今でも語り継がれています。

主な著書

• - 『日本甲冑の新研究』（上・下）
• - 『日本の甲冑 創元選書22』
• - 『日本精神と甲冑』
• - 『甲冑 アルス文化叢書26』
• - 『日本甲冑100選』

山上八郎の研究は、今後も日本の軍事史や文化史の分野において、重要な資料として位置づけられることでしょう。

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