山下達郎CM全集 Vol.1

山下達郎CM全集 Vol.1：音楽的探求の足跡

1973年夏、山下達郎はシュガー・ベイブでプロの音楽家としての活動をスタートさせました。しかし、無名のバンドは生活の基盤を築くのが困難で、山下は生活費を稼ぐためにCM音楽制作を始めることになります。当初は生計を立てるための手段でしたが、次第にCM音楽は山下達郎の音楽的実験や表現の場へと変化していきました。

Vol.1 (FIRST SELECTION) の誕生

1984年、長年に渡って制作されたCM音楽の中から厳選された12曲が、17センチアナログ盤『山下達郎CM全集 Vol.1 (FIRST SELECTION)』としてリリースされました。このアルバムは、山下達郎の音楽キャリアにおける重要な転換点であり、生活のために制作された楽曲が、アーティストとしての彼の創造性や音楽性を反映した作品として再評価されたことを示しています。

このアルバムには、三ツ矢サイダー、不二家ハートチョコレート、ナショナルまきまきカールなど、当時話題になったCM音楽が収録されています。これらの楽曲は、山下達郎の音楽的才能と、CMという特殊なメディアにおける彼の柔軟な対応能力を物語っています。例えば、「いちじく浣腸」のCMでは、素材の特殊性から、シンセサイザーとコーラスを効果的に使用することで、独特の世界観を作り出しています。また、「ハウスみぞれっ子&シャービック」では、複数の場面転換に合わせた音楽のシンクロや異なる曲調の融合など、高度な技術と創造性を発揮しています。

収録曲は、30秒、60秒、90秒など、CMの長さに合わせた様々なバリエーションがあり、CM音楽特有の短くキャッチーな旋律から、より深く音楽性を追求した作品まで、多様な楽曲を楽しむことができます。これらの楽曲は、山下達郎の初期作品として、彼の音楽的成長の過程を伺わせる貴重な資料となっています。

Vol.1 (Second Edition) の登場

1996年、オリジナル盤『Vol.1 (FIRST SELECTION)』を基に、音源の使用許諾やマスターテープの状態などの問題をクリアした上で、CD化された『山下達郎CM全集 Vol.1 (Second Edition)』がリリースされました。これは、音質の向上に加え、未収録楽曲の追加や、一部楽曲のバージョン違いの収録など、より充実した内容となっています。

セカンドエディションでは、ファーストエディションに収録されていなかった楽曲や、マスターテープの状態が良くなかったため別バージョンが収録された楽曲もあり、オリジナル版と聴き比べることができるのも魅力です。さらに、CMソングではないものの、『サウンズ・ウィズ・コーク』のテーマソング「悲しみのJODY」なども収録され、山下達郎の幅広い音楽性を垣間見ることができます。

まとめ

『山下達郎CM全集 Vol.1』は、山下達郎の音楽的キャリアにおける重要な作品であり、彼の多様な音楽性と創造性を示す貴重な資料です。CMという特殊なメディアの中で磨かれた、山下達郎の音楽的探求の軌跡を感じることができるでしょう。ファーストエディションとセカンドエディションを聴き比べることで、より深い音楽的魅力を体感することができるでしょう。これらの作品は、単なるCM音楽の集大成ではなく、山下達郎の音楽人生における重要なマイルストーンとなっています。

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