山代慶長一揆

山代慶長一揆について

山代慶長一揆とは、江戸時代の慶長年間に、周防国の山代（現在の山口県岩国市本郷町および錦町）で発生した農民たちの反乱を指します。この一揆は、農民たちが高い年貢の負担に耐えかねて立ち上がった事象で、当時の社会状況を反映しています。

地域と歴史的背景

山代地方は、周防国の東端に位置し、歴史的には戦国時代には大内氏に支配され、その後毛利氏が領有権を主張しました。毛利氏は大内氏の勢力が縮小した後、1560年代に山代を支配下に置きました。特に弘治2年（1556年）には成君寺城の戦いが起こり、毛利方と大内方に分かれて戦いが繰り広げられました。関ヶ原の戦い後、毛利氏はその影響を受けて土地の面積や石高が大きく変動しましたが、山代地方は毛利の支配が続きました。

一揆の起因

一揆の主な原因は、毛利氏による過剰な年貢の設定にあります。特に慶長5年（1600年）には、山代地方の石高が懸念され、慶長12年の再検地では、実際には達成不可能な高い石高が発表されました。農民たちは年貢率73%という過酷な負担を強いられ、実質的に生活は困窮していました。

一揆の展開

一揆は慶長13年（1608年）10月に発生しました。この反乱には11人の庄屋を中心に多くの農民が参加したと言われています。代官所はこの一揆に対応するため、減税を提案し、結果として年貢率は73%から40%へと減少しました。このように、農民たちの団結と行動が、政府に対する圧力となったのです。

一揆の首謀者処分

しかし、一揆後の対応は厳しいものでした。慶長14年（1609年）3月、代官所は一揆のリーダーである北野孫兵衛をはじめとする庄屋たちを出頭させ、捕縛の上、厳しい処罰を下しました。彼らは斬首された後、その首は物河土手に晒されることとなりました。このような処刑に対し、寺院が供養を行い、北野孫兵衛の首塚も現在に残っています。

一揆以降の歴史

明治時代に入ると、新政府は地税制度の改革を試みましたが、山代地域では明治5年に独自の調査が実施され、明治7年には地租改正が認可されました。この調査を主導した林勇蔵は慶長一揆に関する知識を有し、その結果、当時の一揆の精神が新たな時代の制度に引き継がれることになりました。さらに、明治時代の後半には、当初の一揆を記念する運動が活発化し、顕彰の碑が建設されるなどの動きも見られました。

現代における評価

処刑された庄屋たちへの感謝は、400年後の平成21年（2009年）にも石碑によって顕彰され、今なお地域の歴史として尊重されています。山代慶長一揆は、圧政に抵抗することで人々が団結し、時代を変えようとした象徴的な出来事として語り継がれています。

もう一度検索