山内敏弘

山内敏弘（やまうち としひろ）は、1940年1月3日生まれの日本の法学者で、一橋大学の名誉教授です。彼の専門は憲法であり、特に「立憲平和主義」に関する研究で広く知られています。法学博士（一橋大学、1967年）の学位を持ち、元全国憲法研究会の代表を務めるなど、学術界だけでなく社会運動にも積極的に関わってきました。田上穣治の指導を受け、加藤一彦など多くの弟子を育てています。

生い立ちと学歴

山内敏弘は、山形県東田川郡大和村（現在の鶴岡市）で生まれました。愛知県立一宮高等学校を経て、1958年に一橋大学法学部に入学し、田上穣治のゼミナールに所属しました。大学卒業後、一橋大学大学院法学研究科に進み、修士課程と博士課程を修了。1967年9月には法学博士の学位を取得しました。

研究者としてのキャリア

1968年4月、山内敏弘は獨協大学法学部の専任講師として教鞭を執り始めました。その後、助教授（1972年）、教授（1977年）へと昇進。1983年にはドイツ・フランクフルト大学に留学し、研究活動に励みました。1994年4月には獨協大学名誉教授の称号を受け、同時に母校である一橋大学の法学部教授として迎えられました。1995年7月にはプリンストン大学の客員研究員として海外での研究活動も行っています。

1999年4月には一橋大学大学院法学研究科の教授に就任し、2000年5月には同研究科長・法学部長を兼任。2003年4月、一橋大学を定年退官し、名誉教授となりました。その後、龍谷大学法学部の教授に就任（2003年～2010年）。この間、法学館憲法研究所の客員研究員も務めました。

学外での活動

山内敏弘は、学内での教育・研究活動に加えて、学外でも重要な役割を果たしてきました。日本公法学会の理事（1992年～2001年）、憲法理論研究会の運営委員長（1994年～1996年）、そして全国憲法研究会の代表（2001年～2003年）を歴任。これらの役職を通じて、憲法研究の発展と社会への貢献に尽力しました。

主な著書

山内敏弘は、数多くの著書を発表しています。主な単著には、『平和憲法の理論』（1992年）、『人権・主権・平和――生命権からの憲法的省察』（2003年）、『立憲平和主義と有事法の展開』（2008年）などがあります。これらの著作は、彼の研究テーマである立憲平和主義を深く掘り下げたものであり、日本の憲法研究に大きな影響を与えています。また、共著や編著も多数あり、憲法学の幅広い分野でその研究成果を公開しています。

徴兵制に関する見解

2018年4月7日、山内敏弘は東京都北区で開催された九条の会集会にて、自身の憲法解釈に関する見解を述べました。現行憲法下では自衛隊が公共の福祉に反するため徴兵制は憲法違反となるが、自衛隊を明記する憲法改正が行われれば、自衛隊が公共の福祉に適合し、徴兵制が合憲となる可能性があるというものです。この発言は、彼の憲法に対する独自の視点を浮き彫りにしています。

山内敏弘は、憲法研究における重要な人物の一人であり、その研究は日本の憲法学の発展に大きく貢献しています。彼の著作や活動は、今後も多くの研究者や学生に影響を与え続けるでしょう。

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