山口サビエル記念聖堂

山口サビエル記念聖堂：山口のランドマークと歴史

山口サビエル記念聖堂は、山口県山口市に位置するカトリック広島教区の聖堂です。正式名称は「山口サビエル記念聖堂」ですが、「ザビエル記念聖堂」と呼ばれることも多く、地元の人々にも親しまれています。この聖堂は、フランシスコ・ザビエルが日本で布教活動を行った地である山口における、ザビエルの功績を称えるために1952年に建立されました。

初代の聖堂は、ザビエルの生家があったスペインのナバーラ州パンプローナ近郊にあるザビエル城を模倣したデザインで建てられました。パンプローナ市は1980年に山口市と姉妹都市提携を結んでおり、この文化的つながりが聖堂建設の背景にもあると言えるでしょう。初代の聖堂は市民に広く親しまれていましたが、1991年9月5日、不幸にも火災によって全焼するという悲しい出来事に見舞われました。

しかし、失意の中、再建への取り組みが始まりました。イエズス会からの多大な資金援助に加え、教会関係機関、山口の信徒、そして多くの市民からの善意の募金が集まり、再建プロジェクトは大きな弾みをつけました。そして、1998年4月29日、新たな山口サビエル記念聖堂が完成しました。

再建された聖堂は、イタリア人神父コンスタンチノ・ルッジェリと建築家ルイジ・レオニによるデザインです。高さ53メートルもの2本の塔がそびえ立ち、全体を覆う大きな屋根は、テントを思わせる形状をしています。このデザインは、神との結びつきを象徴するものであり、「神が私たちと一緒におられるしるしとして、教会の形をテント（幕屋）にし」「二つの塔が天にのびることによって、サビエルを記念するだけではなく、現代の人々に神様のことを強く思い出させる形」という建築家の思いが込められています。

この斬新なデザインは、伝統的なカトリック教会の建築様式とは大きく異なるものでした。そのため、初代聖堂の姿に慣れ親しんできた市民からは、当初、戸惑いの声も聞かれたようです。しかし、緑豊かな自然に調和した白い建物と、高くそびえる2本の尖塔は、やがて人々の心を捉え、現在では山口市民の憩いの場、そして山口を代表する観光地として定着しています。

山口市中心部の高層建築物は少ないため、亀山の中腹に建つ聖堂の2本の塔は、遠くからでも視認でき、まさに山口市のランドマークと言える存在感を放っています。さらに、毎日午前7時から午後9時まで、15分ごとにカリヨンの鐘が鳴り響き、その音色は旧聖堂の時代から市民に親しまれ続けています。イタリア製のカリヨンは、大小9つの鐘を18個のモーターで制御することで、美しい音色を奏でます。2011年にはモーター故障による一時的な鐘の休止もありましたが、2013年には機器更新が完了し、再びその美しい音色が街に響き渡るようになりました。

聖堂周辺には、亀山公園などの緑地が広がり、自然豊かな環境に囲まれています。また、聖堂のそばには、サビエルカンパーナなど、地元の飲食店も軒を連ねています。これらの施設と合わせて、山口サビエル記念聖堂は、観光客だけでなく、地元の人々にとっても、大切な場所となっています。 聖堂の歴史と建築、そして美しい景観は、訪れる人々に深い感動を与え続けることでしょう。

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