山口優夢

山口優夢

山口優夢（やまぐち ゆうむ、1985年12月28日 - ）は、日本の現代俳句を担う俳人の一人であり、読売新聞の記者としても活躍しています。東京都に生まれ、幼少期から豊かな感性を育みました。

俳句との出会いと才能の開花

俳句との出会いは、開成高校在学中に参加した句会「紫雁会」でした。2002年から本格的に俳句を始め、その才能はすぐに開花します。2003年には、俳句甲子園で団体優勝を果たし、自句「小鳥来る三億年の地層かな」が最優秀句に選ばれるという快挙を成し遂げました。この句は、悠久の時を感じさせる壮大なスケールと、繊細な感性が織りなす見事な作品として高く評価されています。

学問と俳句の融合

東京大学に進学後も、東大俳句会に所属し、俳句への情熱を燃やし続けました。大学では理学部地球惑星環境学科に進み、火星の地質を研究するという異色の経歴を持ちます。大学院に進学後、修士課程を修了しており、知的な探求心と豊かな感性を兼ね備えていることが伺えます。2005年には、龍谷大学青春俳句大賞大学生部門で最優秀賞を受賞、2007年には第四回鬼貫青春俳句大賞で優秀賞を受賞するなど、数々の俳句賞を受賞しています。

プロの俳人、そして新聞記者として

2008年からは、俳人・中原道夫が主宰する結社「銀化」に所属し、俳人としての活動を本格化させます。2011年には、「投函」50句で第56回角川俳句賞を受賞。当時24歳という若さでの受賞は、田中裕明（受賞時22歳）に次いで史上2番目の記録でした。同年には、第一句集『残像』を刊行し、俳壇で確固たる地位を築きます。2012年には、同じく俳人である江渡華子と結婚し、公私ともに充実した日々を送っています。

代表的な句としては、「台風や薬缶に頭蓋ほどの闇」「あぢさゐはすべて残像ではないか」などがあります。これらの句は、日常的な風景の中に潜む深淵な感情や、言葉では表現しきれない微妙なニュアンスを見事に表現しており、多くの読者の心を捉えています。

2011年からは読売新聞記者として地方勤務をしながら、句作を続けています。ジャーナリストとしての視点と、俳人としての繊細な感性を融合させ、社会の様々な出来事や人々の感情を深く掘り下げた作品を生み出しています。

著書

残像（2011年、角川書店）
新撰21（共著、2010年、邑書林）
* 抒情なき世代 『新撰21』の20人を読む（評論、2010年、邑書林） - 『新撰21』に収録された、自身を除く20人を論じたもの。

山口優夢は、現代俳句の世界において、独自のスタイルを確立し、新たな可能性を切り拓いている俳人として、今後の活躍が期待されています。

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