山口厚

山口厚（やまぐち あつし）について

山口厚は日本の著名な法学者で、主に刑法の分野でその名を馳せています。1953年に新潟県に生まれ、東京大学にて法学を学びました。大学在学中に司法試験に合格し、学問の道に進むことが決定づけられました。彼の学問的キャリアは、東京大学での助手としてのスタートから始まり、その後助教授、教授と昇進を重ねました。さらに、ハーバード大学法科大学院での客員研究員の経験も持ちながら、日本刑法学会の理事長を務めるなど、刑法研究の第一人者としての地位を築きました。

学問の特徴と研究領域

山口は、結果無価値論の立場から刑法を研究し、その理論は特に未遂犯や危険犯の処罰根拠に対する新たな視点を提供しています。助教授時代の著作『「原因において自由な行為」について』では、当時の通説に対する批判を展開し、学界における重要な議論を喚起しました。また、『危険犯の研究』においては、危険犯の処罰根拠の精緻化を進め、抽象的危険犯の概念を提唱することで学問的貢献を果たしました。特に、彼の著作『問題探究刑法総論』は、日本の刑法学史における重要な業績と見なされています。

司法への寄与

2006年以降は新司法試験の考査委員も務め、法学における実務面での貢献も行いました。2017年に最高裁判所判事に任命され、その職務においても学術的な視点を持ち込むことで法理の解釈に寄与しました。彼の最高裁での活動では、さまざまな重要判決に関与し、特に詐欺罪や児童ポルノ製造罪に関する判決では、法の新たな解釈を提示しています。

経歴

長年にわたって蓄積された彼の業績は、数多くの学術著作や論文として具現されており、単著や編著、共著の形で多数の作品を発表しています。彼の著作は、刑法を学ぶ学生や実務家にとって欠かせない資料とされます。また、山口は多くの著名な弟子を持つことでも知られ、彼の影響は日本の法学界において顕著です。これらの弟子たちは、各自の分野で活躍し、山口の教えを受け継ぎ発展させています。

現在

2023年11月に、山口は最高裁判所を定年退官しましたが、彼の残した足跡は未だ日本法学界に影響を与えています。彼の業績と思想は、今後の法学と刑法への理解を深めるための重要な資源となるでしょう。法哲学に関する山口の考え方や理論は、今後も新しい解釈や議論を促進し続けることでしょう。

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