山口哲夫 (詩人)

山口哲夫 - 日本の詩人に寄せる

山口哲夫（やまぐち てつお）は、1946年8月6日に新潟県三島郡越路町で生を受け、1988年5月29日に41歳の生涯を閉じた日本の詩人です。彼の生涯は、文芸への情熱や病との闘いに満ちたものであり、日本文学において重要な位置を占めています。

幼少期と学問の道

哲夫は、新潟での穏やかな暮らしから、昭和40年4月に早稲田大学第一文学部日本文学科に進学するため上京しました。上京後は、石神井公園や鶴巻町、江古田などさまざまな場所へ下宿を移しながら、都会の喧騒の中で過ごしました。大学生活の中で映画に夢中になり、昭和43年ごろから「映画評論」にやくざ映画に関する論考を投稿するようになります。

詩作の始まり

昭和44年に友人の勧めで詩作を始め、「現代詩手帖」に作品を投稿し、その後の詩人としての道を切り開きます。彼は、昭和45年1月に第十回現代詩手帖賞を受賞し、著名な詩人たちで構成される選考委員会の評価を得ました。それ以降、同人誌「騒々」への寄稿を通じて、同時代の詩人たちとの交流を深めました。

主要な業績

昭和46年8月には第一詩集『童顔』を刊行し、その後も第二詩集『妖雪譜』や新鋭詩人シリーズの一冊として『山口哲夫詩集』を発表します。彼の作品は、いずれも独特の視点から人間の内面や社会への批判を含んでおり、多くの読者に影響を与えました。また、詩作の傍らで友人たちと「黒馬会」を結成し、競馬を楽しむ一面も持っていました。

病との闘い

約束された未来の存在を享受する一方で、哲夫は昭和61年2月に直腸癌の手術を受け、人工肛門を装着します。この時点で、彼は癌の事実を知らされないまま生活を続け、詩作活動を続行していました。しかし、昭和62年には病が再発し、転移が確認されると、医師から回復の見込みがないとの診断を受けます。それでも、哲夫は会社勤めを続け、穏やかな生活を模索しました。

最期

昭和63年1月26日に危篤状態に陥り入院。その後、詩集の出版を計画し、新作や改作に取り組む一方で、容体は次第に悪化していきました。5月29日、彼は昏睡状態に入り、享年41歳でこの世を去ります。彼の生涯は、わずか41年という短いものでしたが、その詩に込められた情熱や苦悩は、今でも多くの人々に深く刻まれています。

まとめ

山口哲夫は、詩を通して自己表現を追求し続けた詩人です。彼の作品は、死を迎えるまでの苦闘や人間としての感情を見事に描写しています。詩人として活動した時間は決して長くはありませんでしたが、その存在感は今もなお色褪せることなく、多くの後世の詩人たちに影響を与えています。

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