山口定

山口定（やまぐち やすし）

山口定は、1934年1月2日に生まれ、2013年11月17日に79歳で亡くなった日本の著名な政治学者です。彼は特に戦間期のドイツを中心としたヨーロッパ政治史に精通し、その研究成果は多くの著作として世に出ています。彼の学術的な貢献は、日本における政治学の発展に大きく寄与しました。

来歴・人物

山口は鹿児島県の鹿児島市で生まれ、鹿児島県立甲南高等学校を経て、1956年に東京大学法学部を卒業しました。その後、1958年には立命館大学大学院法学研究科で修士課程を修了し、さらに法学博士の学位を大阪市立大学から得ました。これまでのキャリアを振り返ると、立命館大学法学部や大阪市立大学法学部で教授を務め、1994年から1996年までは立命館大学政策科学部の学部長も務めました。

彼はまた日本政治学会の理事長を1990年から1992年までの間担い、学界におけるリーダーシップを発揮しました。山口は2013年11月、多臓器不全によりその生涯を閉じました。

主な著作

山口は数多くの著作を執筆しています。中でも注目すべきは1962年に出版された『アドルフ・ヒトラー――第三帝国への序曲』で、後に増補改題された『ヒトラーの抬頭――ワイマール・デモクラシーの悲劇』（1991年）です。この作品では、ヒトラーの台頭とその影響を詳細に探求しています。

他にも、現代ファシズムを論じた『現代ファシズム論の諸潮流』（1976年）、ナチスの権力構造について述べる『ナチ・エリート――第三帝国の権力構造』（1976年）、さらにはファシズムに関する比較研究を扱った『ファシズム』（2006年）など、多数の重要な著作があります。

また、1980年代には『現代ヨーロッパ政治史』や『市民社会論――歴史的遺産と新展開』（2004年）といった著書を通じて、現代政治の課題を広く論じています。

共著・共編著

山口は一人での執筆にとどまらず、他の著者との共著や共編著にも多く関与しています。柴田光蔵らとの共著による『いま、国家を問う』（1984年）や、西ヨーロッパ政治をテーマにした『現代西ヨーロッパ政治史』（1990年）などがその例です。また、戦後のデモクラシーについても犬童一男・馬場康雄らと共に『戦後デモクラシーの成立』シリーズを編集しました。

訳書

彼の翻訳活動も評価されており、特にK・D・ブラッハーの『ドイツの独裁　ナチズムの生成・構造・帰結』全2巻（1975年）は、ナチズムを理解するための重要な資料とされています。このような幅広い学問の領域にわたる業績は、山口の影響力とその学問的な意義を際立たせています。

山口定の研究と教育は、彼が存命であった時代における日本の政治学の重要な柱の一つであり、その遺産は今もなお多くの後進の研究者に引き継がれています。

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