山口小夜子+高木由利子「蒙古斑革命」

山口小夜子＋高木由利子「蒙古斑革命」

ファッションモデル・山口小夜子と写真家・高木由利子が2005年から2007年にかけて行った「蒙古斑革命」は、現代日本における美意識とアイデンティティの探求を目的としたプロジェクトです。

プロジェクト概要

「私たちの美意識を探る旅」をテーマに、山口小夜子と高木由利子の目に留まった32名のエッジの立ったアーティストたちにインタビューを実施。多文化が混淆した日本をルーツとして捉え、そこから生まれる新たな表現に焦点を当てました。インタビューは雑誌「ソトコト」やWebサイトで公開されました。

参加アーティストには、林英哲（和太鼓奏者）、鈴木清順（映画監督）、UA（ミュージシャン）、黒田育世（ダンサー）など、多様なジャンルで活躍する人々が名を連ねています。例えば、楽器「オプトロン」を制作する伊東篤宏は、欧米の様式に囚われない自由な表現の重要性を語っています。プロジェクト名にある「蒙古斑」は、人種間の混合の象徴であり、文化的なハイブリッドを受け入れる姿勢こそが重要であるというメッセージが込められています。

山口小夜子は、かつて日本のアイコンとして認識されていましたが、早くから中国や朝鮮半島を含む東アジアの文化に関心を寄せ、独自の美意識を追求していました。このプロジェクトは、彼女の集大成とも言える試みであり、「日本」という概念を再定義しようとするものでした。

イベント「蒙古斑革命 〜光と闇の夜〜」

2005年には、CLASKAにてイベント「蒙古斑革命 〜光と闇の夜〜」が開催されました。プロジェクトに参加したアーティストを中心に、ライブパフォーマンスや作品展示・販売が行われました。出演者は、八木美知依（ハイパー箏奏者）、伊東篤宏（オプトロン奏者）、Candle JUNE（キャンドルアーティスト）など多彩な顔ぶれでした。

Webサイト消失と復元プロジェクト

2007年に連載が終了した後、山口小夜子の急逝とWebサイトのデータ消失という不幸が重なりました。しかし、10年後の2017年、「蒙古斑革命」に影響を受けた星野圭一の呼びかけにより、高木由利子、山川冬樹、生西康典、篠原敏蔵らが集まり、復元プロジェクト「The Salvage Project of 蒙古斑革命」が発足しました。

高木由利子が所蔵していた写真や雑誌掲載時の原稿を元に、Webサイトの再構築が進められています。インタビューの再公開に加え、アーティストたちが当時を振り返るコメントも掲載されており、プロジェクトの意義を改めて考察する機会となっています。Webサイトを通して再び「蒙古斑革命」に触れる事ができます。

参考文献

「山口小夜子 未来を着る人」 東京都現代美術編　河出書房新社　2015年

外部リンク

The Salvage Project of 蒙古斑革命

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